いよいよ今回のハイライトの紅葉です。
翌日は、写真で見た滝の形のユニークさに惹かれて「桃洞滝(とうどうだき)」を目指すことにしました。
森吉山荘からタクシーに約30分乗り、「森吉山野生鳥獣センター」まで行き、そこからはブナの原生林の中を4.2キロ歩きます。この一帯は、国設鳥獣特別保護区となっているところなので、開発などから守られているところです。
着いた時は、管理人さんが壁やら窓に張り付いている小指の爪くらいの大きさのカメムシをペットボトルの中に落としている最中でした。何でこんなにいるのかと思うほどすごい数でびっくりです。ちょうど岩手から来たという青年と一緒になりました。4時間ほどかけて滝の写真を撮りにきたと言っていました。
管理人の女性に「昨日の晩、雨が降ったようですが、滝までの道は大丈夫でしょうか。」と聞いたところ、「さあ、何とも言えないので自分で判断して気をつけて行っていらっしゃい。」とのこと。ちょっと突き放されて不安になりましたが、車が2台ほどすでに駐車してあるので、一人ではないと思って出かけました。
裏手の道を進むと一面ブナの林です。
こんなに広いブナの原生林を歩くのは初めてなので、ブナの落ち葉をルンルン気分で踏みしめながら歩いて行くと、立会川の流れに出くわしました。まず水の量を確かめましたが、落ちても流されるほどではないと思って滑らないように慎重に石を渡っていきました。
東京近辺だと茶色に変色するような気がしますが、ここのブナはそろってオレンジ色になります。顔の色もオレンジ色に染まりそうです。
水の溜まっているところもあるので、深いトレッキングシューズを履いてきてよかったと思いました。
ただただどこまでもブナの林が続いています。同じような景色なので分岐点などには案内板がありましたが、管理人が「よく案内板を見て進んでくださいよ。往きは、桃洞の滝。復りは、鳥獣センター方面ですよ。よく見てね。」と2回もいうので、よほど頼りないと思われたのだなと思いました。でも、その案内板がないと迷って遭難するかもしれないほど、一面ブナ林が続いているのです。
まず一つ目の分岐。赤水沢は、足首くらいまでの深さの川を歩いて滝をめざす「天国の散歩道」と名付けられた素敵な沢歩きができるのだと聞いています。ガイドさんが必要なようだし、距離も長くて私にはちょっと無理な気がしています。
今日は、直進です。
だいぶ歩いたところに案内板がありました。「桃洞横滝」です。
落差は小さいですが横一列滝になっています。これもなんだか不思議です。どうして横一列が同じように削れているのでしょうか。
さて、ここから1kmとの表示であと20分だと思うと気分も軽やかです。
水は流れ込んではいませんでしたが、昨日の晩は水が上がっていたんだろうなと思う脇道を進みます。
右岸から左岸へ渡る飛び石へきました。脚の長さが足りなくて渡れそうもない箇所が見受けられました。こんなところで脚の長さを自覚しなくてはならないとは思ってもいませんでした。そこで水深を見て、あらかじめ靴を濡らしてでも川の中を歩こうと無理に跳びませんでした。変な転び方をして返ってけがをしたらまた7月の二の舞です。
ちょっと落差も出てきて何やら大きな音も聞こえ出しました。時間も時間、そろそろかなという期待に胸が膨らみます。
ありました。ありました。右側に「桃洞の滝」が!!
この春から写真を見て憧れの滝だったし、夏は山でけがをしてもう来られないかなと半分あきらめていたのでとっても嬉しく思いました。朱色に染まった衣をまとって何とも素敵な桃洞の滝です。
上の方へは、ハーネスを使って登ることができるようですが、私にはちょっと無理そうです。落ちたら死にますからね。
真ん中部分です。甌穴もあって何やら桃の種のようにも思えます。
この丸く分かれた形の滝は初めて見ましたが、皆さんはどうでしょうか。
赤水沢の方へ行くと「ウサギ滝」というのがあるので、それも面白いと思います。
長くなるのでここでストップします。
(続く)