上田・鹿沢温泉 その2

 上田駅から宿のお迎えのマイクロバスに乗り、宿へと向かった。

 宿は、「休暇村 嬬恋鹿沢」。(昔は、国民休暇村といっていたところ)

 夏に一度来たことがある湯の丸峠(地蔵峠)を越え、長野県から群馬県へ下ったとこ

ろにある鹿沢温泉までやってきた。約1時間くらいの道のりだ。

 

 この近くに鹿沢スキー場があり、友人は以前にも来たことがある宿だそうだ。

 温泉があり、食べ物も美味しいし割合安く泊まれるので この日もウイークデ

ーだったにもかかわらず、われらと同じ年頃の方々がたくさん見えていた。

 

 宿の窓から眺めた群馬県

 遠くの山々は、スキー場があるところだそうだ。あれが万座、向こうが草津、山の間

を抜けていくと志賀高原だとか、説明してくれた。

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 右側は、山の斜面が景色を隠しているが、カラマツ林が続く山。

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 翌日もしっかりと晴れてくれたので、予定通り裏手の山をハイキングすることにし

た。朝は、外へ出るとかなり冷えていた。カラマツ林の道を抜けていく。カラマツの小

さな針のような葉が積もって地面がふかふかで気持ちがよい。

 

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 からまつの林を過ぎて、

 からまつをしみじみと見き。

 からまつはさびしかりけり。

 からまつはさびしかりけり。

 一人ではないので、決してこんな心情にはなれないが、どうしても白秋のからまつの

詩が浮かび、曲を口ずさんでしまう。

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 はや霜柱が立っていた。

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 赤い実はこれしか見つからなかった。アリドオシかヤブコウジかと思ったが、

葉っぱが違う。調べたがわからずじまい。

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 枯れ葉ばかりの中にてかてかと光沢のある茶色い葉。これもわからない。暖かくて早

く出てきてしまったような気がするが、春から秋までは花があるので名前もある程度分

かるが、冬は山にも行かないせいかほとんど判らない。

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 あずまやが一つあったので、そこで小休憩をし、頂上を目指す。

 頂上近くになるとちょっと急な登りがあった。空が見えるのでもうすぐだ。

 めざせ頂上と思いながら登る。

 到着。

 「村上山 1746m」

 先に登っていた男性と、私たちを抜かしていった女性だけであとは誰も上ってこなか

ったので、静かな山登りが楽しめた。そのお二人は、私たちの到着したのを見届けてか

ら下山して行かれた。

 頂上からの眺め

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 宿の窓からだとよく見えなかった風景が全部見渡せた。

 黒く見えるところは黒々とした土の畑。嬬恋だからキャベツが植わっていたのだろ

う。真ん中に見える池は、田代湖。八ッ場ダムに繋がっていく吾妻川の支流と思しき流

れも見える。宿からほんの300mばかり上っただけなのに、このパノラマ。なんだかと

っても得をした気分だ。

 このパノラマは、後ろにも続く。右後ろ斜めは、雲で頂上が隠れてしまったが、なん

浅間山まで見えるではないか。以前上った湯の丸山からだと真ん前に見えていたので

始めは気が付かなかったが、微かに噴煙があがっていたので浅間だとわかった。

 

 からまつの林を出でて、

 浅間嶺にけぶ立つ見つ。

 浅間嶺にけぶり立つ見つ。

 からまつのまたそのうへに。

 からまつの詩の6には、浅間山が出てくる。浅間はやはり特別な山なのだ。

 

 

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 頂上の陶器の仏様f:id:yporcini:20211116120154j:plain

 祠の屋根に咲く苔の花。本当に小さいけれども、鮮やかな赤。今頃こんなに鮮やかな

花が咲くなんて、とっても不思議だ。蕗っ晒しの頂上で独りたたずむ仏様を慰めてくれ

ているような気がした。

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 南中を過ぎて太陽が西へ傾きはじめると、晩秋の山は雲が出て寒くなる。

 下り始めてみると、登りでは気づかなかったが、この辺りは、シラカバとダケカンバ

の林。木の間から見える浅間山に後ろ髪を引かれながらまたからまつの林に入ってい

く。からまつの林からは、もう浅間は見えない。今回は、山で転ぶこともなく無事下

山。

 

 (つづく)