翌日の8日は、森吉山へ登る日です。
森吉山は知る人ぞ知る高山植物の宝庫と言われる山です。花の二百名山に数えられています。山の高さが1500mに満たないので百名山には入れてもらえなかったのではないかと何かの本で読んだことがあります。
と言っても、今回は私も含めて初心者の集まりですので、お気楽ゴンドラコースで登ることにしました。最寄りの駅「阿仁合」からタクシーで20分ほど行くとゴンドラの駅へ着きます。
ゴンドラの駅には、秋田犬の「北斗くん」が出迎えていてくれましたが、どうも眠そうで呼んでも目を開けてはくれませんでした。
冬は、スキー場になるところなので、6人乗りのゴンドラがひっきりなしに動いています。天気はほぼ快晴。紫外線も強そうです。このゴンドラで約20分。山頂駅1167mまで連れて行ってくれます。森吉山の頂上まで標高差は300mくらいなので、特に問題はなさそうです。
道々木道が設置されていて歩きやすくなっていますがだいぶ老朽化しているところもあって材木を運んで直している方々を見ました。すごく重そうなので本当に大変なお仕事だと思いました。
一番目立ったのがニッコウキスゲ。上り始めの両脇に並木のように連なって咲いていました。見頃の花は勢いがあります。
次に多かったのがこのイワカガミです。うつむいて咲いているのできれいに撮るのはなかなか難しいです。
次は、頭にハクサンがつく三人組。左から「ハクサンチドリ」「ハクサンフウロ」
「ハクサンシャクナゲ」。
白い小さな花たち6人組。
左上から「アカモノ」「モミジカラマツ」「マイズルソウ」
下段左から「ゴゼンタチバナ」「ツマトリソウ」「ミツバオウレン」
初めて撮れた植物。
「アオヤギソウ」
「ウラジロヨウラク」
花に見とれて写真を撮っているうち、はや1時間半が経過。棒が立っている頂上まであと1時間くらいでしょうか。
お目当ての「チングルマ」は、実ができています。雪渓が解けるとすぐに咲く花なので、7月の初めではもう遅かったようです。それでも頂上近くへ行くと、名残りの数輪が咲いていました。
頂上へ到着。翌日向かう秋田駒ヶ岳も乳頭山も岩手山も八幡平もみんな見渡せます。 鳥海山が見えなかったのはちょっと残念。この日は、月曜日でしたが、天気が良かったので、ツアーのお客さんも結構来ていて頂上は混雑していました。
お昼は、宿で作ってもらったおにぎりです。まず竹の皮に包まれていたこと、ひもも紙紐、何ともエコおにぎり弁当でした。一つがとっても大きいので食べきれるかと心配していましたが全員少しも残さず完食でした。
ごはんの美味しかったこと!お米は特別に作ってもらっているあきたこまちだそうです。ご飯がこんなにおいしいなんて、久しぶりにお米が食べられる日本に生まれてよかったなと思ったくらいです。
私は、ご飯の中に入っていた梅漬けがフルーティで気に入りました。宿に帰るなり、さっそく梅について聞いたくらいです。
「八助梅」と呼ばれている大きな梅だと教えてもらいました。後日角館の通りを歩いていたら八百屋さんの店先にアンズのような実がたくさん売られているのを見ました。きっとあれだなと思いましたが、旅先で買う訳にもいきません。
うちへ帰ってからさっそく調べてみたら本当はあんずの仲間だとわかりました。青森の南部が産地でこの地方独特の梅漬けだそうです。旅先で新しい食べ物に出会えるのは心躍ります。
友人がストーブを持ってきてくれたので、お湯を沸かして味噌汁を飲んで一息つきました。重い荷物を背負って持ってきてくれたことに感謝。
ここから今来た道とは反対側の道を下ったところに「山人平」(やまびとだいら)という湿原がありそこが一番の見どころだと聞いていたので、下りることにしました。片道30分ということでしたが、行きは下りでよかったのですが、帰りは急な上りで時間がかかりそうです。
上から見ると上段と下段と二つの湿原が見えましたが、時間もあまりないので上段だけで帰ることにしました。
ここは、森吉山のハイライト。途中の道がまだ雪渓になっている頃、軽アイゼンを持ってくるとよいようです。
この湿原はとチングルマ、ヒナザクラの白とイワカガミ、ショウジョウバカマのピンクの花に一面覆われているのが見られて天国の花園というくらい美しいと聞いていましたが、今回は、もう花が終わっていてこの通り一面緑でした。
左は、水芭蕉の白い苞が落ちたもの。 右は、モウセンゴケ。こちらも花が終わっているようです。
ここからまた頂上へ上る途中で私はけがをしました。左の足がちゃんと着地していなかったために後ろにひっくり返りなぜか右顔面をひどく打ったのです。意識はありましたが、かなり急な斜面でしたので手を使っても起き上がれず、ちょうど通りかかった女性に先に行った友人たちを呼んできてもらいました。
幸い手も脚も骨折はしていなかったようなので自分で歩けましたが、額を切っていたので出血がひどくまわりの人たちがびっくりしていました。
頂上で団体を引率していた山の女性ガイドさんが心配してくれて、傷口の消毒と包帯を巻いてくれました。右の頬骨の辺りを一番強く打ったみたいでいまだに触ると痛みがあります。
宿に帰ってから、頭を打っているようだから、今日のうちに病院でCTを取ってもらった方がいいと言って、車で1時間もかかる北秋田市民病院まで連れて行ってくださいました。友人にも世話になり、山のガイドさん、そして宿のスタッフさん、それに病院のスタッフさんに とっても親切にしてもらい心がとっても温かくなりました。
(続く)