頂上から見えた八幡沼。この辺りの沼では一番大きな沼です。青空を映して美しく青
い水面でした。左側の岸に山小屋がありますが、そこで昼食休憩を取りました。
雪渓が残っている下り道なので、めったに使わないストックを持って歩きましたが、
一度バランスを崩して転びました。
小屋のすぐそばには、タケシマランが生えているのをガイドさんが教えてくれまし
た。上から眺めると上にかぶさっている葉っぱに隠れていて小さな花が釣り下がってい
るのが見えません。一人で歩いていたら、きっと見逃しただろうと思います。かがんで
覗き込むようにして撮った写真です。(オオタケシマランかもしれません。)
初めて知った植物です。名前からするときっと梨のような実がつくのだろうなと想像
していましたが、調べるとやっぱり実は梨のような味がすると書いてあります。食べる
といってもほんの僅かでしょうが、食べられるのだそうです。
小屋の裏手に回ると木道がついた道がありました。ようやく雪が解けたばかりの湿原
は、まだ枯草で覆われています。
湿原の女王様と言われるミズバショウ。
関東ではもうとっくに終わっていますし、八幡平へ来る途中の標高800mくらいの
芭蕉沼といわれるところでも大きな葉ばかりが目立っていてこの白い苞は見られません
でした。北東北の1600m付近では真っ白な苞がまだ出たばかり、体を持ち上げるよ
うに咲くミズバショウは元気印です。
東北の高山帯のお姫様にふさわしいのは、ヒナザクラ。
雪解けを待っていち早く花を咲かせます。水の中からつぼみと一緒に生え出している
姿を見ると、可憐ながら強さを宿した花だなと感心します。
八幡平のパークボランティアのマスコットになっているそうです。
木道ですれ違った人が、
「木道わきにたった1本だけが咲いているから気を付けて見て。グループで歩いてい
ると見逃してしまうかもしれないから。」
と教えてくださったのが、このチングルマ。秋田駒が岳ではムーミン谷一面に咲いて
いたチングルマのイメージからすると、たった1本と思いましたが、本当にこの1本だ
けしか見ることはありませんでした。(だいぶぼけてますが、写真もこれ1枚しかとっ
てませんでした、)
ボケた写真ついでに、こちらはこれからというよりこれが最後かもしれないという花
でワタスゲです。ワタスゲというと、白い綿毛の姿が浮かぶので花を見たのはこれが初
めてです。もう枯れかかった花なので、ちょっと茶色がかっていますが、きれいに咲い
ているのは薄黄緑色です。花が終わると白い綿毛のワタスゲが広がって初夏の湿原を彩
ります。
この写真ではよくわかりませんが、この季節の八幡平の森は、常緑樹のアオモリトド
マツ(オオシラビソ)とシラカバの黄緑色の新緑がツートンで美しいです。
盛岡市内から見る岩手山を表に見立てると、こちらは裏手に当たるので、裾野の広が
り方が反対に見えます。裏は、大変山肌が荒れていてぼこぼことしています。岩手山も
火山だったのかと思いました。
今日の締めは、ボランティアガイドの女性が
「花じゃないけどかわいくて大好きなんです。」
とおっしゃっていたアオモリトドマツの葉芽です。この赤い芽が膨らんで、徐々に薄黄
緑の葉っぱを拡げるのでしょう。赤いものには力が秘められているような気がします。
(つづく)