八幡平ハイキング その4

 2日目は、午後雨が降るとの予報でしたので、午前中は回れると思い、バスに乗って

頂上の停留場まで行きました。

 歩き始めはまだ薄日もさしていましたが、だんだん雲が厚くなり風も強くなってきま

した。

起き上がれていないアオモリトドマツ

 昨日と違って歩く人も少なくて、どんよりした山道です。周りを見渡すと今まで雪の

下にうずもれていた痛んだトドマツの下の方が見えてきています。

 前日、ガイドさんは、曲がった幹を触って

 「頑張って起き上がるんだよ。」

と話しかけていましたが、本当にしゃん‘伸びあがってほしいなと思いました。

 

ピンクのテープのついた竹竿

 この先の方で逆方向からやってきた管理員さんたちに会いました。雪の深さを調

べて竿を立てる位置を直したり、急な斜面になっているところは雪を切って階段状にし

たり、安全に歩けるよう点検整備して下さっていました。

 仕事とはいえ、悪天候の日もあり毎日の点検は大変だなと思います。

 

 頂上を通り過ぎたあたりから本当に風が強くなり、風よけになるものもないので吹き

飛ばされるかと思ってしまいました。

ムラサキヤシオとガマ沼

 前日は気づかなかったムラサキヤシオです。初めて見ました。紫といってもピンクに

近い色でとても愛らしい感じのツツジでした。

ショウジョウバカマ

 ムラサキヤシオとよく似た色の花でした。雪が解けるとすぐに湿原に彩を添えてくれ

ます。

色違いのショウジョウバカマ

 紫の方は、雄しべの葯の色が黒いのに、赤い方は、白いのです。まるでコーディネー

トされたみたいだなと感心しました。こちらは湿原ではなく、割と乾燥した山道の端に

すらっと伸びていました。

 同じ花でも背の高さ、花の色、葯の色、生える場所など、違いがあるんだなと

思いました。

 

 雨が降り始めたので、12時過ぎの下りのバスに乗り、宿まで帰ってきました。宿の

周りを歩いてみるといろいろ発見がありました。

山の斜面の残雪

 雪が大きな塊になってずいぶんと残っているのを見ました。ダケカンバが雪の重さで

折れ曲がっています。少しずつ雪が解けて周りの植物たちが目を覚まし始めています。

シナノキンバイ

オオバキスミレ

ツクシ

斜面に生えるミズバショウ

 黄色い花が咲いていました。車が通る脇なのにと驚いていると、スギナが生えている

のを見つけました。それなら近くにツクシも生えているだろうと思ってみたら、ありま

した。ここは、まだ平地の3月です。6月になってもう一度早春気分に浸ることができ

ました。

 

 斜面の上の方にある雪のかたまりから少しずつ水がしみだしているのでしょう。湿原

に咲くミズバショウが山の斜面にぽつぽつと出ているのを見つけ驚きました。水が豊富

だとこんな山の斜面にも育つんですね。

藤七温泉露天風呂

 バスの窓から藤七温泉の露天風呂が見えていたので、霧で入っている人も見えないの

で写真を撮りました。ここは、湯舟は木で囲われていますが、下は砂地というか土がそ

のままで、下からぼこぼこと温泉が湧き出ているのです。一応、女性用というのもある

のですが、ほとんどの浴槽は混浴なので、夜の一時間を除くと女性は湯あみ着をつけて

入っているようです。因みに私は、夜の時間だけで昼間は内風呂に入ったので混浴体験

はしていません。バスの窓からのぞけますが、だれなのかそんなところまではわかりま

せん。露天風呂というより野天風呂といった風情です。

藤七温泉前のバス停

イワカガミ

 霧で何も見えませんが、バス停の向こう側にはこのイワカガミが群生しています。バ

スを降りると、イワカガミに迎えられるのです。そんなバス停にお目にかかったことが

ないので、なんだかとても気分が上がりました。

 

 3日目、いよいよ下山です。

 下へ降りるバスは12時半までないので、10時にチェックアウトをしてから、スト

ーブのある部屋で2時間以上待ちました。待ちながら、棚の上に飾ってある造花を眺め

ては風情がないなと思っていたところ

 「この宿だけは、国立公園内に立っているので、自然の物は一切取ってはいけない

ことになっているのよ。」

と、一緒に待っていた方が教えて下さいました。

 私以外の3人の方は、ツアーのお客さんで近辺にあるほかの温泉のお客さんも含め観

光バスがチャーターされていて、私より1時間早く帰られました。

 

 12時半のバスは、八幡平の麓のホテルまでしか行かないのでそこからまた盛岡行の

バスに乗り継ぎます。このバスは往きのような特別なバスではなく普通の路線バスなの

で、学校帰りの小学生が大勢乗ってきたりもします。

 都会からすれば不便この上ないですが、公共交通機関を使った地方旅をするというこ

とは、この不便さを楽しむ余裕を持たなければならないなと思うようにしています。

 

 イワカガミ咲く特別なバス停からイワカガミに見送られてたった一人バスに乗り、

藤七温泉を後にしました。

 

 (八幡平の旅はこれで終わりです。ありがとうございました。)