旅の3日目、本当は朝すぐに松本へ戻る予定でいたのですが、
「せっかく乗鞍山の真下まできているのだから乗鞍へ乗り込もうよ。また来たいと思っ
ても願いが叶わないかもしれないよ。若くはないんだから。」
と、その日の朝 私が言い出して乗鞍畳平まで行くことになりました。
休暇村のバス停から約50分、長野県側からの道はエコーラインと呼ばれ畳平まで
一気に登ります。雨は降っていませんでしたが、途中からは細かい霧が窓ガラスを濡ら
していました。
白い幹がシラカバからダケカンバに変わり、やがて森林限界に入り、ハイマツの緑の
じゅうたん、ところどころに赤い実をつけ黄葉したナナカマド。今年初めての紅葉を見
ました。
畳平の標高は、2706㎡。車の駐車場があるところとしては日本で一番高いところ
だそうです。
駐車場に降り立つと寒いこと、寒いこと。霧雨と風で寒くてすぐに待合室に入り、暖
を取りました。想像はしていましたが、気温は8℃。一気に10度以上下がりました。
霧で何も見えないので、手探りで目の前の小高い山を目指しましたが、風が強くて途
中で挫折。このボーッとした山は、魔王岳だそうです。乗鞍山は、たくさんの山の総称
だそうで、この魔王岳も乗鞍山の一つです。因みに一番高い山は剣が峰という名前で呼
ばれています。
魔王岳に登る階段の隙間にけなげに咲いていた花は、イワギキョウ。こんな瓦礫の中
によく根付いているなとその強さに感激しました。
風が吹きさらすところは避けて駐車場から下に下り畳平の木道の上をしばし歩きまし
た。ここは広い湿原のようですが、その日は全体像が霧で何も見えません。
草紅葉の湿原で花はもうないだろうと思いながら歩きましたが、ここにもけなげな
花が咲いていました。
シナノキンバイかと思いましたが、ミヤマキンバイのようです。夏の花ですからこれ
が最後の花だと思います。
コケモモです。この赤い実は今が旬でしょうか。
この白いのはハナゴケかな?よくわかりません。
いつまでも霧が晴れないので、1時間後に出るバスに乗って帰ることにしました。
天気が悪くて歩けなかったのは残念でしたが、今年初めての本格的な紅葉を見、
今年初めての冬の寒さも体感することができてここまで来た甲斐があったなと思いまし
た。
(つづく)