信州の旅4 松本市街

 松本市街は、学生の頃黒部へ行く途中の扇沢へ氷河の痕跡を残した石を探しに行くた

めに来た時と、あと一度は50代に入ってから友人と犀川にやってくる白鳥を見に来た時

に寄ったことがあるだけです。

 松本で覚えているのは、松本城だけ。ちゃんと松本の街を歩いたことはありません。

 

 三人とも松本へは来たことがあるにもかかわらず、じっくりと街を歩いたことがなか

ったという偶然もあって、今回は街中のビジネスホテルに一泊することにしたのです。

 

 都会へ泊るにはビジネスが安上がりなので、今回も駅から7分くらい歩いたところに

あるビジネスに泊りました。始終泊っている私は慣れていますが、シングルへ泊るのは

初めてだという人もいたので、鍵のことだとか、照明のこととか、お風呂の使い方だと

か、一応レクチャーしました。先輩面して偉そうにしてましたが、今回フロントでのチ

ェックインは、自分で入力し、支払いもこの時に済ませるシステムになっていたのには

驚きました。年々様子が変わっていくので、対応しなくてはならない年寄は大変です。

 

 翌朝は、駅まで出てコインロッカーに荷物を預け、この市内バスに乗りました。この

おしゃれな水玉模様は、草間彌生氏の作品からとったラッピングバスだと思われます。

名前もおしゃれで「タウンスニーカー」といいます。いかにも運動靴を履いてバスでお

散歩という感じがこの小さめのバスによく似合っているなと思いました。とり

あえず駅から東の方にある「あがたの森公園」まで乗ってみました。

 

 

 公園には大きなヒマラヤスギに囲まれた美しい洋館が建っています。この洋館は、旧

制松本高校の校舎だったそうです。現在は、あがたの森文化会館として会議室や図書館

やホールなどに使われています。旧制高校を松本が誘致する際には九番目の高校(その

時は、八校まであった)を目指していたそうですが実らずに地名が付いた高校になった

そうです。旧制高校の建物が残っているのは松本だけらしく、重要文化財に指定されて

いる優美な洋館です。

 中庭には、「岳人」と名付けられた登山スタイルの彫刻が立っていました。肩に乗っ

ているのはライチョウだと思いたいですが、肩乗りライチョウなんていませんね。です

が、いかにも松本にふさわしい彫刻だと思いました。

 (レンズが汚れていて)ボーッとしたところにイチョウの木がありました。銀杏が実

っているのを見つけたときに昼間は気温30度の松本にも秋が忍び寄ってきているのを

感じました。

 日差しが強くて少々疲れたので、池のそばの四阿で一休みしました。天気が良かった

ので同じ色の帽子をかぶった保育園の幼い子どもたちがたくさん遊びに来ていました。

 

 

 松本深志神社にもお参りをと思っていましたが、いつの間にかお昼近くになっていた

のでそのまま歩いて松本美術館の方に戻って行きました。

 前庭には草間彌生さんの独特なオブジェが飾ってありました。私たち3人は、草間彌

生さんはすごいアーティストだとは思っていますが、あまり好みではなかったために日

陰で休ませてもらっただけで中には入りませんでした。

 美術館では「映画監督山崎貴の世界」と題した特別展示がされていました。入ってい

ないので知る由もありませんが、ポスターに出ていたので、この写真に写っているのが

そのオブジェなんだなと思いました。あとでお城へ向かう橋の歩道に飾られていまし

た。

 お昼に食べたドライカレーです。

 1日目に松本電鉄の電車の発車時刻まで待ち時間があったので、街中の公園のあたり

をぶらついていました。その公園のことに付いてアンケートを取っている人がいたの

で、その人に「観光客でもいいなら答えますよ。」と言ったら3人とも答えることにな

ったのです。その方とちょっとした関係ができたので、ついでに昼ご飯の情報をもらっ

たのです。

 

 その時にその方のお知り合いがやっている 食蔵「BASALLA」というところを紹介し

てもらいました。

 せっかくなのでこの日その店でランチをすることにしました。入口のガラスの部屋

は緑の植物が植えられていて、建物は蔵をリノベーションしただけあって天井が高

くゆったりした雰囲気のレストランでした。地元のお野菜をふんだんに使ったサラダと

牛肉入りのスパイシーなドライカレーで美味しくいただけましたが、私ども年寄には量

が少々多すぎました。

 食後最後は、松本城にやってきました。旅も4日目に入ると疲れが出て来て、お城の

中へ入って急な階段を上り下りする気力がなくなってきていました。ベンチで一休みし

て駅への道を辿りました。外人の観光客もずいぶんと来ていました。

 駅へ向かう途中で、開運堂という老舗の和菓子屋さんへ寄ってお土産を買いました。

 私のお目当ては、このロボットが作るソフトクリームです。カウンターでソフト用の

メダルを買って、投入口へ入れるとソフトクリームロボットが動き出します。一日一種

類のみでこの日は黒ゴマソフトでした。カレンダーに予告されているメニューを見る

と、2,30種類あるかと思います。ジェラート系の舌触りのソフトでした。

 

 松本市は古いものが息づく素敵な街でした。大型店が撤退したり、郊外にショッピン

グモールができたり、松本もほかの地方都市と同じように寂しさが否めませんが、何と

か活路を見出してほしいなと思います。

 長い旅行ブログにお付き合いくださり、ありがとうございました。