再び北海道浜中へ2 アゼチの岬編

2日目、天気は曇り。

朝食を取りながら、宿主と今日の日程について相談。

やはり最初は、霧多布湿原センターへ行って「やちぼうず木道」を散策し、

去年は行かなかった「アゼチの岬」へ回ることにした。

 いつものように新川十字路まで送ってもらい、町内バスに乗る。

霧多布湿原センター入口

 バスを降りるとアキタブキの前に大きな看板があった。今、持続可能な社会を作

るためにとSDGsと盛んに叫ばれている。ここ浜中町は元々漁業が盛んな町なので、海の

資源を守るためにも背後の森や湿原を含めて町全体で自然環境を守ってい行こうという

機運が感じられる。

2階のカフェの窓から見た湿原とその先の海

 曇っているので、空も海も湿原もどよーんとしている。

 左側の半島の右端がこの後で行くことにしていた「アゼチの岬」。

 

 センター内を一回りして、下の「やちぼうず木道」を歩いてみた。

大きなヤチボウズ

 今年も大きなヤチボウズ(釧路湿原など道東の湿原で多く見られる)にご挨拶。

 去年とほぼ同じ季節なのに、今年は花の咲くのが早かったのか、お目当てのクロユ

リもとっくに終わり、見られたのは、フタマタイチゲとワスレナグサと終わ

りかけのクシロハナシノブのみでちょっと寂しかった。

フタマタイチゲ

 カフェでクラムチャウダーとパンのセットとデザートアイスを食べ、12時半のバス

で岬を目指した。

 「アゼチの岬」は、🚌の終点の「ゆうゆ」(浜中温浴施設)から、右の道を辿って約

30分歩く。

 

広大な草地に放牧された乳牛たち

 すぐに乳牛が見えだす。

 牛たちは日がな一日ここで草を食む。

 ここは、海からの潮風と海霧を受けたミネラル分の豊富な草地なので、牛乳の栄

養価もぐっと高いそうだ。

 昨年から宿主さんに聞かされていた「小松牛乳」さんの牧場だ。

 

 ここで出しているのは、ふつうの牛乳とコーヒー牛乳とフルーツ牛乳のみ。

 今は、手を拡げてバターやチーズ、クリームやヨーグルトなどいろんなものを

生産する多角的な牧場が多い中、家族経営ということもあるのだろうが、あくまで牛乳

のみ、そのシンプルさに惹かれる。

 

 「小松牛乳のコーヒーは、ちゃんと抽出したコーヒーだし、フルーツもリンゴジュー

スが入っているんだから。」

 と、宿主さんが自慢ぽく話していたのが耳に残っていたので、ぜひ試してみたいと思

っていたのだが、入口がわからず、時間もなくって帰ってから宿の冷蔵庫から出しても

らったもので試した。

 コーヒー牛乳だったが、甘すぎずおいしかった。

 このビン牛乳は、宿だと1本100円で分けてくれるが、湿原センターだと110

円、温浴施設だと150円。

 浜中町内のみの出荷なので、浜中でしか飲めない牛乳だ。

エゾフウロ

シコタンキンポウゲ

ヒオウギアヤメ

エゾノハナウド

 岬へたどる道の両側には、エゾフウロ、シコタンキンポウゲ、ヒオウギアヤメ、エゾ

ノハナウドが咲いていた。特に多かったのがヒオウギアヤメとエゾノハナウド。

 ハクサンフウロかエゾフウロか、まだよく見分けられないし、ミヤマキンポウゲかシ

コタンキンポウゲなのか、これもよくわからない。勉強しなくっちゃ!

岬への最後のアプローチ

 ようやく、岬が見えそうな所へやってきた。いよいよフィナーレへ向かう花道。ヒロ

インになった気持ちで前へと進む。どこからか音楽も聞こえてきそう。

アゼチの岬

 霧がかかっていなかったので、半島や島がよく見えて素晴らしい風景だった。

 夕日が沈むときは さぞ感動的だろう。

 

 7月のはじめ、右後ろ側の港から出港したコンブ漁の小型の船が、大きなエンジンを

うならせてすぐ下の海を通って岬の左側へ回り、最良の漁場を取るために競艇さながら

のレースを毎年繰り広げるのだ。

 去年から一度見てみたいものだと思いながら、今年は竿前(さおまえ)昆布(間引

きする昆布)漁は、中止だというのでがっかりだ。

 

 3月中旬、20数年ぶりに知床半島根室納沙布岬を超えて太平洋まで流氷が押し

寄せ、浜中へも接岸した。

 というわけで、養殖のものや昆布に被害が出たらしい。自然の脅威には人間はなすす

べがない。

 

 今年はコンブ漁はできるのかどうか私にはよくわからないが、流氷に

よって海は清掃され、運ばれてきた豊富なプランクトンによって、来年は昆布もほかの

漁もきっとうまくいくということだ。

エゾカンゾウ

 エゾカンゾウが咲き始め、岬は華やかに彩られる。

ミウとカモメ

 くちばしのところがよく見えていないので、カワウかウミウかわからないが、場所が

場所なので、ウミウということにしておく。岬の岩の一番突端で繁殖しているに違いな 

い。

この日の夕食の海鮮丼。
キングサーモン、トキシラズ、サクラマス、ミズダコ、オヒョウ、カレイ、ホッキ、クジラ

 地のものをたっぷりのせた海鮮丼でお腹はいっぱい。特に私が好きなのは、トキシラ

ズとサクラマス、脂がのっていてこってりしている。オヒョウは、すごく大きいので解

体するのがとても大変だそうだ。昔学校給食でオヒョウのフライを食べたことがあるが

オヒョウも刺身で食べられることを初めて知った。

 (つづく)