夜になると雨が降り出してとても寒かったのですが、朝は、雨も止み晴れとはいかないまでも曇り空でした。
この日は、ロープウエーを使って山頂公園駅からどこの山も目指さず、池塘を巡りながら宿まで下っていく計画でした。去年怪我をしているので、今回は慎重にならざるを得ず、下りだけなら何とかこなせるだろうという心づもりでした。
青森へ来る前々日までは、八甲田山は猛烈な風が吹いていてロープウエーが止まっていたのですが、この日は動いているとの情報でほっとしてロープウエー山麓駅へ向かいました。
ロープウエーは、101人乗りのゴンドラです。
ロープウエーから下を見ると、下界は晴れている模様、青森市街地、それに青森湾(陸奥湾)も見渡せます。窓の下をのぞくと木々の紅葉は、まだ進んでいません。
山頂公園駅に到着すると、霧というか雲というかまわりのようすが全く見えません。それどころかものすごい風に煽られ立っているのも不安になるくらいでした。
ロープウエーの駅があるところは風を遮るものがないので特にひどかったのだと思いますが、これじゃ怖くて歩けないではないかと思いながら、とりあえずレインコートなど身支度を整えて公園駅のまわりのゴードラインと呼ばれる遊歩道を歩きはじめました。
木道に導かれるように、一周30分と一周1時間のひょうたん型のコースがゴードラインになっています。木陰に入ると先ほどの猛烈な風は止み何とか歩けそうな気がしてきました。
ルート上にあった田茂萢(たもやち)湿原の展望台です。
霧がかかりとても幻想的な風景でした。雲が少し切れると右の方に田茂萢岳という山がちらっと見えます。
ゴードラインは約1時間、そこから上毛無岱(かみけなしたい)へのルートに入り酸ヶ湯温泉への道を進みます。
前日まで結構雨が降っていたので、この先の道はひどくぬかるんでいました。私の前を歩いていたご夫婦は、足元が十分でなかったので足首まで泥が入り込みとても大変そうでした。ご主人は、自分のペースでさっさと進んでいくのですが、奥様の方は、普通の運動靴だったので、私が持っていたトレッキングポールを一つお貸しして水たまりの深さを確かめて歩くといいと勧めました。
私も転ばないようにと下ばかり見ていたので、道に飛び出ていた太い枝に気付かずおでこをぶつけてしまいました。本当に神経が行き届かないやつだとあきれました。
上は、ガマズミ、下はたぶんゴゼンタチバナ。ぬかるみの道を歩きながらもあちこちに実りの秋を見つけていました。
上毛無岱(かみけなしたい)は、天気もまだ安定せず見渡すことができませんでしたが、ぬかるみ道を抜け木道が階段になっているところを下りていくと、急に前が開け素晴らしい景色が広がりました。
八甲田へは上毛無岱から下毛無岱(しもけなしたい)のこの風景を見たくて来たのです。幸運なことに空も晴れ渡りました。まるで天国のお庭のようです。(天国へは行ったことがりませんが、たぶん。)
続きの木道は、画面右側に白く見えています。
小さな池塘があちこちに点在し、黄金色の草紅葉のところどころに赤や黄色に色づいた灌木も見えています。秋が深まるともっともっと色鮮やかさが増してドラマチックな光景に出逢えるのだと思います。
木道を歩いて行くと、池塘に映り込んだ白い雲がミツガシワの葉を際立たせていました。向こうに見えるのはおそらく八甲田の最高峰の大岳だと思います。
下毛無岱は木道があって歩きやすいはずですが、湿原から染み出る水で木道はまるで川か水路と化していて、長靴が必要なくらいでした。
流れになっているところでは滑らなかったのに、水がないところですべってしりもちをついてしまいました。
結局足の踏ん張りがきかなくてなってきているのでしょう。年を取りたくないけれど取ってしまったので仕方がありません。大けがをしなかっただけ儲けものです。
ちょうどこのキノコの季節だったのか、歩く道々何回も見つけました。このきのこナメコだと思いませんか。キノコを試せなかったのが返す返すも心残りです。
(つづく)