奥森吉太平湖と小又峽散策(秋田旅行その2)

 (続きです。)

 田んぼアートや阿仁川のゆるやかな流れを見ながら約1時間半、阿仁前田駅に到着。駅から宿のお迎えの車に乗って約30分。この日の宿「森吉山荘」に着きました。ここで大きな荷物を置いて小さなザックに必要なものを入れて、頼んでおいたタクシーで午後のハイキングへ出かけました。

 (※荷物の詰め替えの時に、うっかりカメラを忘れてしまったため今回の写真は同行した友人のカメラで写したものを借りました。)

 

 太平湖は、森吉ダムを建設した際にできた人造湖だそうです。その太平湖まで山を登りまた下りしてタクシーでも約20分。グリーンハウスで遊覧船のチケットを購入し、さらに山道を下ること10分、ようやく遊覧船の桟橋に到着。

 日曜日の午後なのに、何と乗客は私たちのみ。ボートの運転をしながら湖の見どころも案内してくれる船長さんと陽気な船員さんが一人。その船員さんは、まだ簡単な日本語しか話せない外人さんだけれど飛び切り素敵な笑顔で私たちを和ませてくれます。

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 船は、柱状節理となった湖岸と緑の木々の緑を眺めながら湖の中へ進んで行きます。

 湖面をゆく風もさわやか、いい気持ちでいるとこんなアナウンスが聞こえてきました。

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 「湖岸の木々の間に丸い穴が二つ見えますが、クマが冬眠していた穴です。」

 (えっ、やっぱりクマがいるんだ!・・・)

 今からこの辺りを散策しようとしているのでちょっと不安がよぎりましたが、4人で来ているとその辺は鈍感でいられるようです。

 船は、向きを変えて清水桟橋へ横づけしてくれました。ここから小又峽散策が始まります。川岸を安全に歩けるような歩道が作られていることを聞いていたのであまり心配はしていませんでしたが、クマが出てきたらお手上げです。復路を歩く人たちを3組ほど見かけましたが、往路を進む人はほかにはいませんでした。一人では、ちょっと・・・

 森吉山荘の案内に書かれていた通り、たくさんの甌穴や滝が続く道でした。

 どうもこの辺りの川底は大きな岩盤でできているように見えます。その岩盤が長い年月をかけて侵食され複雑な模様のようになって見えるのです。深さも違うので色も様々でアートだなと感心しながら通り過ぎていきました。

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 所々に小さな滝がありますが、ここにも甌穴があって下の方から流れ出しているところがあります。

 

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 少し上ってきたので、滝に落差が出てきました。最後は、「三階の滝」だというのですが、これは三階っぽいけれどもクライマックスではなさそうです。

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 と思いながら先へ進むと景色がガラッと変わり、一番右側が細くて深い淵になっているのでびっくりです。

 淵の中にも甌穴があり、一体この岩盤の中はどうなっているのか覗けるものなら覗いてみたい気持ちになります。

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 時間が1時間過ぎました。往きは、草花に気を取られ写真を撮ったりしながら歩いていたので、半分の45分をとうに過ぎているのです。帰りの船が迎えに来る時間は、午後4時、それが最後なのでどうしてもそれに間に合わせなくてはならないのです。10分手前で戻るか進むか意見が割れました。私は速足で行けば取り戻せるからと言って強引に進みました。カーブしたところを上りきったら、とうとう目的地の「三階の滝」が現れました。f:id:yporcini:20190707150400j:plain

 三段に分かれている滝ですが、特に2段目は真っ白で水量が多くて迫力があります。 落差は、20mほどだと思いますが、皆さんを強引に説き伏せてやって来た甲斐がありました。

 さて、記念撮影をしてから私は、責任を取らなくてはと思い、わき目もふらずに桟橋まで一目散に早歩きで進みました。私たちがここへ来ているのは知っているわけですから、船も少しは待っていてくれると思いましたが、私だけでも先に行って船を停めておかなくてはならないと思ったのです。往きは、1時間かかったのに、帰りは30分弱で到着です。まだ船も来ていませんでした。ほっとしました。

 無事お迎えの船に乗り、グリーンハウスへ戻ることができました。タクシーが来るまでしばらく待っていましたが、昨日もこの辺りの道にクマが来ていたという話を聞いて本当にちょくちょくクマが出るところなんだと認識しました。どうも若いクマで自分の縄張りをつくる時期なんじゃないかと言っていました。クマだけでなくクマゲラも出てきて、すごく大きなドラミングの音を響かせるそうです。深~い森なんですね。

 余談です。

 後で分かったことですが、この遊覧船は、宿の「森吉山荘」が経営していたのです。船の船長さんもグリーンハウスのチケット売り場のお兄さんもみんな私たちが着いたすぐ後で宿に戻って来ていました。チケット売り場のお兄さんは、夕食の時は、ウエイターの仕事をされていたのでまたまた驚いてしまいました。人手が足りない話は聞いていましたので、みんなが力を出していかないと経営が成り立たないのだろうと秋田の現状を一つ見た気がしました。

(続く)