秋田駒ヶ岳その1

 8月の5日から東北3県を旅してきました。旅から帰って余韻が残っているうちにブログを書こうと思っていたのに、なぜかパソコンのキーボードの不具合でパソコンが使えずだいぶ色あせた旅行記になりました。

田沢湖駅

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 8月5日、出発の日、秋田方面は日本海側からの前線の影響で集中豪雨だということで雨に向かっての旅立ちとなりました。東京から福島辺りまでは曇り空でしたが、岩手県に入ると雨が降り出し車窓から見る家々の屋根が光って見えるようになりました。盛岡から田沢湖線に入ると通過する鉄橋の下を流れる川の水かさが増し茶色くにごっています。かなり降ったのだなと思いました。「こまち」が田沢湖駅に到着した頃には雨も小降りになっていてほっと一安心。天気がよければ抱き返り渓谷へ行ってみようと思っていたのですが、駅員に聞いてみると、二つ先の駅に行く普通列車も運休でタクシーでの振替だし、今日の降り具合だと渓谷沿いの道はぬかるんでいてとってもじゃないけれど歩けないと言われ、またの機会にすることにしました。

 

 翌日6日の朝は雨は上がっていましたが曇り空でした。行けるところまで行こうと作ってもらったおにぎりをリュックに入れ、8時半ごろのバスで8合目まで行きました。8合目へ近づくと辺りは雲に覆われ風も吹き小雨が降っています。バスを降りた乗客は、みんな小屋へ入って雨支度です。

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 一番ポピュラーな新道コースを進みます。ガスっていてまわりの景色が見えません。 まもなく左手に見えたのは、イオウ採掘場跡。

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 道のところどころにクマへの注意を喚起する金属棒が用意されていました。私はクマ鈴を持ってなかったので、必ず叩いて前へ進みました。人間の残したもののほかにも動物の足跡がぬかるみの土に残っているからです。

 ガスっていても登山道の脇に咲く植物が目を楽しませてくれます。

ヤマハハコ                  ノリウツギ

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エゾシオガマ                 ハクサンシャジン

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ハンゴンソウ                 ハクサンチドリ

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オニシモツケ                 ハクサンボウフウ

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ウメバチソウ               

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 シシウドのお花畑

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 道々一番元気に咲いていたのは、長野でも咲いていたシシウドです。ぐぐっと太い茎をのばし、中から盛り上がるような勢いを内包した蕾が傘を開こうとする姿にはエネルギーを感じます。ボーッと白い花が斜面を覆っています。

 阿弥陀池近くまでくると、平らな湿地に木道が渡されています。ハクサンシャジンなどまだまだいろんな花が残っていますが、ガスっていてよく見えないのが残念です。

阿弥陀池近くのお花畑            ミヤマリンドウ

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 お花畑の中に一叢リンドウの花が咲いているのが見えました。白い花が多い中、青紫のリンドウを見つけると嬉しくなります。木道から離れていてしかも霧のベールに覆われているのでボーッとしか写せませんでした。

阿弥陀池

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 阿弥陀池まで来ると横殴りの雨で小屋も見えません。池の向こう側にある小屋まで行くと高校生の団体もいて座るところもないほど混み合っていました。濡れた体に風が吹き付けるため寒くて風邪を引きそうな気がしたので、ちょっと休んでからそそくさと元来た道をたどり8合目まで引き返しました。

 結局、おにぎりは八合目の小屋で食べ、一時間ほどバスを待って下山しました。

 条件が悪い中でも登って、課題だった下山も悪い膝をかばいながらなんとか下りてこられたのは、私には大きな自信となりました。

 続く

  

 

 

 

  

 

崎陽軒横浜工場見学

 今年の夏もアメリカから息子の嫁さんと小学校6年の孫が一時帰国してきました。

 去年は、キリンビール横浜工場の見学に出かけましたが、今年は、崎陽軒の横浜工場へ行ってきました。

 崎陽軒のシュウマイ弁当は、横浜駅をはじめ大きな駅ではたいてい見かける定番商品なので、ご存知の方が多いと思います。

 この工場見学シュウマイが試食できるというので、子どもには人気で夏休みは特に申し込みが多いようです。

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(*お醤油入れのひょうちゃん 左のは初代のもの。初めはガラス製だったそうですが、途中から陶器になりそれに漫画家の横山隆一さんが、一つ一つ違う顔のひょうちゃんを描いたそうです。右のは、ひょうちゃんができて60年を記念した還暦ひょうちゃん。)

 

 横浜工場は、新横浜からバスに乗って10分、港北インターで降りるとすぐです。外の写真も撮っていませんが、中はやたらに写真が撮れません。

 概略はプロジェクターで映し出される映像で説明され、実際の行程を見せてくれます。

 私たちのグループは、逆コースでシュウマイ弁当作りのところから見ました。

 経木の折半分に俵型ご飯(黒ごま)、後の半分にシュウマイ5個、マグロの照り焼き、玉子焼き、かまぼこ、鶏のから揚げ、タケノコ、切りほしほた昆布と生姜、干しアンズ、それにお醤油とからし、すべて手作業で詰めていきます。

 詰めた後、蓋をして包装紙でくるみ、ひもをかけるのも手作業でした。

 これは、いちばんシンプルなシュウマイ弁当。

 このお弁当は、冷めても美味しいをめざしているので、入れ物は、経木を使って適度にご飯の水分を調節しているそうです。

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 (*駅弁売り、いえ、シウマイ娘です。実際にこうしたコスチュームでシウマイを売っていたそうです。コスチュームにも歴史あり。)

 

  次に、シュウマイができるまでを見て行きました。

 原材料は、豚肉、玉ねぎ、干しホタテの貝柱、グリーンピース、塩、コショウ、砂糖、でんぷん、小麦粉(皮)の9種類のみ。

 材料をすべて混ぜる、皮を作る、成形する、蒸す、箱に詰める、包装する、これらの行程がすべて機械化されているところが弁当づくりとは違っていました。

 私が知らなかったのは、グリーンピースが上にのっているだけだと思っていましたら、材料の中に混ぜ込んであるので形がなくなっているのも含めたくさんのグリーンピースが入っていたことです。

 それに、弁当を意識して一口で食べられるように小さめに作られていることも工夫の一つだということです。

 冷めても美味しいは、弁当だけでなくシュウマイのコンセプトにもなっていて、そのためにホタテの貝柱を使っているということです。

 私もシュウマイをうちで作る時には、ホタテ貝柱と干しエビを細かく刻んで入れ込みます。別に冷たくなっても美味しいをめざしているわけではありませんが、肉だけよりずっと美味しくなることは請け合いです。

 最後に、普通はシュウマイと表記しますが、崎陽軒のはシウマイとなっています。

 開発をしている時の中国のシェフに、シウマイの方が中国の発音に近いと言われたこと、シ ウマイ とうまいに繋がって良い ということだそうです。

 

 最後の試食です。

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 お弁当に使われているポピュラーなシウマイとちょっと大きいシウマイ、それにタケノコ、パイナップルジャムの入ったパインキュウブ、それに大事なひょうちゃんの醤油入れです。日によって変わることがあるようです。

 午後2時、昼食前だったのでこれだけでは当然足らないので、この後ラーメン博物館へ寄り道しました。

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 アメリカでは、ラーメンがなかなか食べられないようで孫たちは、毎年ここへやって来ては、半ラーメンを3件梯子して帰ります。

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 中は、「三丁目の夕日」の時代を再現したような街を作り出しています。この街の中に10軒くらいのラーメン屋や、バー、駄菓子屋などが並んでいて、真ん中の鶴亀公園では、フラフープやけん玉などの遊び道具もあって時折紙芝居やもやってきます。

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 私は、特にラーメンに飢えているわけではないのですが、ニューヨークにある「YUJIRAMEN」というのに入ってみました。ここは、ツナコツラーメンを売りにしていて、魚のお出汁だからです。限定30食の「冷やしツナトマトつけ麺」にしました。

 こってりしたのが好きな人には物足りないかもしれませんが、なかなかおいしいです。欲をいえば、トマトの酸味と甘みをもっと出せればと思いました。

 このラーメン屋さんは、9月24日でここを卒業(閉店)するそうです。 

 

暑かった上田城

 旅の2日目。

 この日は、涼しい高原には行かず、美ヶ原から北東方向に位置する上田へ向かった。

 上田は盆地なので暑いとは聞いていたが、この日の予報では気温36度。暑い!

 

 上田に来たのは初めてなので、まず上田城へ行く。

 2年前にの大河ドラマ真田丸」の舞台になり、観光客もたくさん訪れたと聞くがこの暑さも手伝って観光客は少なめだ。

 私はテレビを持っていないので、この城についての前知識が全くない。

 

 二の丸から入ってまずは「上田博物館」へ入る。

 ここでは、上田城の歴代城主の資料や上田の歴史、民俗などを知ることができる。

 上田城は、そもそも真田氏が築城したものであるが、その後の栄枯盛衰もあり仙石氏、松平氏と引き継がれ明治を迎える。

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 本丸には二階建ての櫓が7基と櫓門が2基があったそうだが、今はこの写真の左側が「南櫓」、右側が「北櫓」、真ん中は「東虎口櫓門」、そのほかに「西櫓」がある。

 南櫓、北櫓とも昭和24年、東虎口門は平成6年に復元されやっと城門の形が整ったのだという。

  西櫓だけは、江戸初期に建てられたままの城郭建築として特に貴重な建物だということだが、今回は写真を撮りに行くこともなく失礼をしてしまった。

 

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 東虎口櫓門の石垣。

 ひときわ大きいのが「真田石」。真田信之(築城した真田昌幸の長男)が松代へ移封される際に父の形見として持って行こうとしたが、どうにも動かないのであきらめたという直径3mもある石。

 

 上田城は、真田氏が徳川の大軍を2度も撃退したことで一躍有名になったと聞くが、天守閣もない平城でどんな戦いが繰り広げられたのかすごく興味深い。

 それにしても、昔々のことながら戦えば血が流れる。そのことに心を馳せていかなばならないといつも思う。

 暑い中お世話をしてくださる方々は、とても親切で質問をするととても丁寧に応対して下さる。心が通うおもてなしで上田の印象はとても良いものになった。

 城には他にも見どころがたくさんあるが、次回の課題にしてとりあえずお腹を満たすことにする。

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 お昼は、二の丸の道を挟んだところにある観光会館内にある「千本桜」で食べた。

 別荘の管理事務所のお兄さんが

 「同級生がそば打ちをやっていて値段も適当で美味しいからぜひ行って!」

とお薦めがあったお蕎麦屋さんだ。

 食べたのは、「クルミとおろしの田舎そば」。メニューを見て、おはぎが付いているのを見て3人とも即座にこれを注文。女性は、やっぱり甘いものに目がない。

 信州ではよくクルミを使うが、クルミのタレで食べるそばは初めて。ほんのり甘くて美味しい。2種類の味が楽しめるのが嬉しい。

 後から出てきたおはぎは、出来立てだというだけあって温かい。このおはぎも胡麻クルミの2種類。とろっとした濃厚な蕎麦湯、それにそば茶でお腹もいっぱいに膨らんだ。

 下に引いてある木の葉は、ハランかと思いきや、柿の葉のようだ。なんだかローカルで楽しい。

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 お土産はみすず飴に決めていた。

 どこのお土産物屋にも売っている定番だが、せっかく上田に来たのだから

駅前の本店に行こうということになってやってきた。

 大正ロマンを感じさせるレトロな建物は、有形文化財

 みすず飴は、国産の果物を使い、着色料や香料を使わないで作ってある良心的なお土産物だ。ここへ来ると、季節限定のものが買える。定番のうめ、ぶどう、りんご、あんず、さんぽうかん、もも、の6種類に今回は赤すももが入ったものが買えた。

 上田に来たら、この本店へ来ると、梅ジュースも飲ませてくれ、みすず飴の試食もできるのでお勧め。

 

 暑いせいで意欲がなくてろくな写真もないなと思いながら、食べ物の話になると口だけは滑らかになる。

 これで今回の旅の記録はおしまい。

美ヶ原の夏だより

 先週水曜日から3泊4日で長野県へ出かけていた。

 昨年9月に行った友人の知人の別荘へ滞在。

 梅雨が明けているといいけれどと決めた日程だったが、梅雨どころか毎日毎日が猛暑日の横浜。ここを抜け出られるだけでありがたい。

 下界の暑さをよそに着いた日の午後の気温は23度。窓を開ければ涼風が入り、エアコンも扇風機も必要がない。被災地では、毎日この暑さの中懸命に働いている人たちがいると思うと申し訳ない気持ちになる。

 

 着いた翌日は、美ヶ原へ出かけた。

 昨年は、9月に入ってからだったので高山植物も少なかったが、今年は夏の盛り、しかも高原の花も下界の花と同じように例年より前倒しで季節が進んでいるようだ。

 駐車場から南の方角に頭を雲の上に出した富士山が見え、西の方には、雲の上にわずかに槍ヶ岳のとんがり帽子が見えた。天気は去年よりもずっとよかったにもかかわらず北アルプスの山はその一瞬のみで再び姿を見せてはくれなかった。

 

 歩き出すとすぐに目に飛び込んできた花は、「ハクサンフウロ」と「ウツボグサ」。薄いピンクの花と紫のお花畑は、ロマンチックな気分にさせる。

ハクサンフウロ            ウツボグサ」

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 去年と同じように両脇に牧場を従えた真ん中の通路を進む。

 タテハチョウもアカトンボもこの一時を逃してはなるまいと懸命に花から花へ飛び回る。ノアザミの赤が美しい。お花畑の向こうに見える水色の空が舞台だ。

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 花と虫が自分の生をかけて懸命に生きる様は何よりも美しい。美ヶ原の一番好きな光景になりそうだ。

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 ポニーが4頭草を食む。その向こうに雲の上に頭を出した富士山が微かに見えた。もう頭に雪は見えない。

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 アルプス展望コースへ入り、王ヶ頭をめざして歩くが肝心の北アルプスは一向に見えてこない。ずっと雲の中。

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 こんな岩場に咲くのは、うす紫の「ヒメシャジン」と黄色の「イワキンバイ」。こんな過酷なところでなくともいいのではと思うが、他人にはわからないわけがあるのだろう。

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 下界のホタルブクロは、もうとうに咲き終わっているが「ヤマホタルブクロ」は咲き始めたばかり。この花も岩の割れ目から顔をのぞかせていた。

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 王ヶ頭ホテルが見えてきた。草原の中にぽつぽつカラマツ?の木があるが、風が下から吹き上げるせいか左側の枝が育っていない。冬の美ヶ原はどんな風が吹きつけるのだろうか。

 道々本当にたくさんの花々が咲いていて、季節を違えて山へ来る喜びを知ることができた。この道の両側に咲いていた花たちを紹介しよう。

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「コウリンカ」             「ウスユキソウ」

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「ハナチダケサシ」           「エゾカワラナデシコ

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 「コオニユリ」            「シシウド」

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「キバナノヤマオダマキ」        「ニッコウキスゲ

 時折麓から風が吹きあげる。タテハチョウが羽を拡げバランスを取りながら次の花へと向かう。耳からはウグイスの声がしきりと聞こえていたが、姿は見ることができなかった。王ヶ頭ホテルの真下に来た時に、ホテルの屋上に停まってるたくさんのツバメを見かけた。2000ⅿもあるところにもツバメは巣を作ることを初めて知った。

 

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 頂上は、晴れて日差しを遮るところもない。こちらは晴れていても北アルプスの方角の雲が取れない。残念だ。また来るときには、アルプスが見えるだろうか。どんな花が咲いているだろうか。

 高原のさわやかな風を感じてもらえたでしょうか。

 続く。

 

茅ヶ崎里浜の植物観察会

 

 4月22日「ハマヒルガオ

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 砂浜に拡がるハマヒルガオが見たいというだけで、ネットでたまたま知った「NPO法人ゆい」が実施した植物観察会に参加したのが2年前。

 参加している方々は、大学や高校の先生方や学生さんなど茅ヶ崎に住んでいない方もいるのですが、ほとんどは茅ヶ崎の住民です。

 ふるさとの砂浜に昔のような海浜植物を復活させ自然豊かな浜辺にしようという試みに賛同し、日常の細々した活動にすぐに参加できる方たちの中に混じって一人横浜から参加しているのが私です。みなさん、2年前に飛び入りで参加した変わり者にもかかわらず、他の方とわけ隔てなく接してくださるので、ついずるずると活動に参加しているというのが実態です。

 「ハマエンドウ

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 種を取り、砂をつめた牛乳パックに種をまき、発芽させて植栽させるところまで苗を育てる作業など地道にコツコツやっていくことが本来のすごく大事な活動です。

 地元の茅ヶ崎市藤沢市のサポート、企業や地域のロータリークラブからの環境活動への支援、学校や保育園の子どもたちをも巻き込んで一つの大きなうねりもあって活動の量も質も年々上がってきているのが目に見えてきています。

 春と秋は砂浜の外来植物の除去と牛乳パックで育てた苗を植える植栽会が主な活動で、それ以外にも海浜植物の座学や広報活動としての展示会や苗のお渡し会、地域のお祭りへの参加など、月に1回は何かしらイベントがあります。

 私はそんなイベントがある時だけ参加しているわけで自分でもこれでいいのかなと自問自答の2年間です。

 「ハマダイコン

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 4月22日には2年前と同じように茅ヶ崎漁港をフィールドとした観察会がありました。

 今までも観察会はありましたが、自分たちが植物のことをもっと知ったうえで活動していかなくてはということで、計画された観察会です。

 「ハマボウフウ

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 うちのハマボウフウとはけた違い、砂にしっかりと張り付いて砂嵐や強風にも負けそうもない力強さを感じました。

 ハマボウフウは、湘南海岸の代表的な植物で、昔はこの地域の人たちは春の出たばかりの若い葉を食べていたそうです。私たちが植えたものを見て通りがかりの人から「懐かしいなあ。」という言葉がよく聞かれます。昔から漢方薬の材料やお屠蘇の中にも使われてきた貴重な植物だそうです。

 侵食による砂浜の減少や海浜をあまりにも人が踏みつけることが増えて減少の一途を辿っています。

 

 「コウボウムギ

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 茅ヶ崎漁港がある後方のスペースは、荒れ地になっていて「テリハノイバラ」「ハマダイコン」「ハマエンドウ」「コウボウムギ」「コウボウシバ」「ハマヒルガオ」など外来植物も含め種々雑多な植生となっているのですが、それを過ぎたあたりから西は、風が吹けば砂が移動し、高波があれば海水が上がってくるような過酷な環境になっている砂浜になっていました。

 高波にも強風にもさらされる最前線に生えていたのが「コウボウムギ」と「コウボウシバ」それに「ハマヒルガオ」でした。

 今まで、プリントで説明を受けたことがあったにも関わらず、実際はこんな過酷なところに彼らは根を張っていたのかと知識と感覚が一致した瞬間でした。

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 「ハマヒルガオ」も波が上がって崖のようになったところに根を張り「コウボウムギ」や「コウボウシバ」と共に砂を取られまいと頑張っている姿に感動しました。

 代表の方がいうには、津波などが押し寄せてくる時に、こういう植物が生えていることである程度食い止めてくれるのではないかと 防災上の観点からも海浜植物は大事なのだと言っていたことも想像できるような気がしました。

 座学で写真やプリントによる説明は受けてもすぐに名前を覚えるということも、ましてや砂草が本来持っている性質やら、浜辺のどのあたりをその生息地にしているのかを理解することが老化と共になかなか叶わずこの日の観察会は有意義なものでした。

 

 6月9日 茅ヶ崎漁港付近向こうに見えるのが「烏帽子岩

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 6月9日に市や企業の後援を受けた植栽会があったので参加してきました。この日は、近隣の高校から30人くらいの高校生の参加がありました。企業の社員、その家族なども含め総勢60人くらいだったかと思います。

 暑い日でしたが、大勢だったのであっという間に仕事は終わりました。こういう環境を守っていく活動に若い人たちの参加は必要です。受け継いでくれる人がいなかったら続いていかないからです。今までも地域の保育園や小学校の子どもたちが参加してくれたことがありましたが、高校生の参加はまた新たな展開につながるかもしれないなという予感もありこの日は明るい気持ちになりました。

 もう海の家を建てる工事が始まっていました。7月は、お祭りもあり海水浴など海のレジャーも本番を迎えます。サイクリングロードの内側になったところで柵もあるのですが、植栽をした植物たちが踏みつけられて消えてしまわないよう祈りたい気持ちです。

 

ハマボウフウの花が咲いた

5月5日

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 これは、昨年の春に茅ヶ崎NPO法人ゆいで行われた苗のお渡し会に参加した時に預かってきた「ハマボウフウ」です。

 「苗の里親になりませんか。」というよびかけに参加し、1年間我が家のベランダで育てたものです。冬はうちの中に入れるように言われていたのですが、何とか外で生き延びれそうだったので外に出したままで春を迎えました。

 春が近づくに従って茎は手足を力強く伸ばしその先に大きな葉をつけ、見ているだけでも元気がもらえそうでした。5月にはなんと真ん中に花の蕾らしきものも出てきました。大した世話もしていないのに小さな白いものを見つけた時には何とも言えないほど嬉しい気持ちになりました。

 5月22日

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 気温が上がってくると花もぐんぐん成長し、白いブロッコリー状の花になりました。

 茎には白い毛が生え、一つ一つの花にはめしべも雄しべもついて花弁も5枚見えます。海岸の砂浜ではアバウトに見るだけでゆっくりと花を観察することがなかったので、そんな小さな世界をもっていることを知ろうともしていなかったのです。

 ところがもう一つ預かっていた「ハマヒルガオ」の方は、冬の間に葉っぱが枯れてしまいました。根が生きていれば、また芽を出すような気がして待っていましたが、それっきり姿を見ることはありませんでした。冬は部屋に入れてやらねばならなかったのだと申し訳ない気持ちです。

 人間の里親になるのはとても大変なことで私にはできませんが、植物なら水を絶やさず肥料を多少加えてやれば何とかなるかと思い上がっていたようです。

 とりあえず、「ハマボウフウ」の方は横浜なら冬に耐えられることがわかったので地植えにしてみようかと思っています。

 ずいぶん前のことですが、記録として残しておきたかったので、とりあえずブログにアップしました。

 

 

春のシギ・チドリの渡り

 近くの川で渡ってきている冬鳥の姿を見てからすっかり鳥に取りつかれてしまった私ですが、それ以来宮城県の伊豆沼・内沼のマガンやハクチョウ、新潟県の福島潟のヒシクイをこの目で見たくて出かけてきました。

 本もたくさん読みましたが、その中でそんなに遠くへ行かなくとも東京湾の干潟にやってくる渡り鳥がたくさんいることに気がつきました。それが、シギやチドリと言われる種類の鳥です。

 昨年そのことに気がついて、まず東京港野鳥公園へ行ってみましたが、去年は自分の都合と干潮の時間とが合致せずやっと行った5月の下旬、残っていたのはコチドリのみで後のシギたちは、もう繁殖のために北へ旅立った後でした。

 今年こそはと、4月下旬ごろからその機をねらっていました。ブログを毎日読みながら念入りにチェックし、出かけたのが11日でした。

 到着したのが昼過ぎ、ちょうど干潮から満潮へ変わっていく時間帯でサンクチュアリセンターの真下の干潟がだんだん狭くなっていくところでした。ガラス越しにはコチドリ、それからだいぶ離れたところにいたキアシシギをみることができました。

 他のシギはいないのかとしばらくあちらこちらを望遠鏡で覗いていましたが、ちょうど同じ頃到着されたご婦人が、

「前浜にキョウジョシギがたくさん来ているから、急いで行ってごらんなさい。」

と声をかけてくださいました。

 観察小屋からもっと先に前浜というのができているのはその日初めて知りました。あわてて飛ぶような気持ちで行くと、ドキッとするほど近くで鳥たちをみることができました。

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 冬のシギたちは、大体灰色とかベージュとか地味な色合いの羽色だったので、観察窓から見えたこのシギの羽の色には本当に驚きました。明るい茶色と黒と白の羽とオレンジ色の足、見事なコントラストです。

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 このシギの名前は、キョウジョシギ

 この日は、20羽くらいがこの岩場で休んでいました。図鑑ではカタカナで書いてあるので「キョウジシギ」なのか、「キョウジュシギ」なのか「ギョウジシギ」なのか、うろ覚えでしたが、この時近くで大きなカメラを構えていた方が、他人に名前を教えているのを耳にして納得できました。

 漢字で書くと京の女を意味する「京女シギ」、あるいは狂った女という意味で「狂女シギ」と説明されていたので、漢字にすると私の頭にも名前がストンと入りました。

 派手に着飾っているようにも見えるし、顔には隈取のような模様が入っています。狂っているという感じもわかるような気がします。

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 前浜には、キョウジョシギのほかにキアシシギもいました。

 去年も割合遅くまでいたシギなので名前だけは覚えていましたが、去年はこのシギも見ることができなかったのでお初です。キョウジョシギよりは、少し大きく背も高く黄色い足のシギです。体の色は地味でいかにもシギらしいシギです。

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 お隣の1号観察小屋へ移動しました。

 もう一羽、お初のシギが近くにいました。チュウシャクシギです。嘴が長くて湾曲しているシギらしいシギです。

 シギというとこの内側へ曲がっていたㇼ逆に長く反り返っていたㇼする嘴をイメージしていたので、ここで会えてとっても嬉しく思いました。

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  大きく写してみました。何だかダチョウの顔に似ているような気がしました。

 

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  すぐ近くにコチドリもいました。センターからだと小さいカメラの倍率をいっぱいいっぱいにしないと見えないのに、ここでは私の小さなカメラでもはっきりと写すことができたというわけです。 

 コチドリは、留鳥に近いのでここでも繁殖するのです。

 満潮になっても水が入ってこない中島のようなところに石を丸く敷き詰め石の模様に似た卵を産むだけなので、そんなまやかしには騙されないカラスにねらわれ先日産んだ卵は食べられてしまったのだと

レンジャーが教えてくれました。。

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 これがその中島です。遠いので、小さいカメラいっぱいいっぱいの画像なのでぼやけていますが、写した鳥は、ハマシギです。冬、宮城県の蕪栗沼で見た時と違うのは、胸から腹にかけて黒いところです。コチドリとよく似ていますが、ハマシギは、これからまだ数千キロを飛んで、アラスカの北極海に面した辺りで繁殖活動をするのです。小さい体でよく頑張るなと本当に感心するばかりです。

 シギやチドリは、赤道よりも南側、オーストラリアの南で越冬し、4、5月ごろ途中の干潟でエネルギーを補給してシベリアやアラスカ方面まで飛んで繁殖し、夏の終わりから秋の初めにまた日本の干潟などを経由して南へ移動します。

 その距離数千キロから一番長く飛ぶのは一万キロ。危険と隣り合わせの渡りを繰り返すのです。自分が飛ぶわけではないのに、想像しただけで胸がいっぱいになるのです。

 人間の経済活動でこの東京湾の埋め立てがどんどん進み、残されたのがこの野鳥公園と千葉県の三番瀬谷津干潟。シギやチドリが途中で休むところがなくなれば、この鳥たちはおそらく生きていけなくなるのだろうと思います。