南三陸の旅4(ラムサール湿地登録地・志津川湾ーコクガンを訪ねて)

27日日の出

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 2日目は障子を開けるとまばゆい光が差し込みました。それだけでいい一日が始まりそうな気がしてくるから不思議です。

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 朝ごはんを食べて戻ってみたら、もうだいぶ太陽は上って、昨日の午後コクガンの子どもたちと会った津の宮漁港がよく見えています。気温が低いのでまだ昨日の雪が日陰に残っていました。

 この日は、コクガンの観察ではなく植物の話があるということで、午後また「海のビジターセンター」へ行くことにしていました。

 午前中はこの辺りの砂浜を実際に見てみたいなと思っていましたが、宿のおかみさんは、手前は堤防工事、ここから先の浜はほとんど岩礁海岸で砂浜がないというのです。

 仕方がないので、津の宮漁港の一つ先の入り江まで行ってみることにしました。

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 目の前に見える「椿島」がずいぶん近くに見えます。この島は、タブの木とツバキがたくさん生えている島だそうです。ビジターセンターの紹介ビデオの受け売りですが、陸から離れているため、動物に実を食べられることがないので、ツバキの木が群生しているのだとか。誰もいないところだと聞くと冒険心が芽生えてきます。ビジターセンターからシーカヤックで行けそうな気がするのですが。

 この浜も小さな港になっていて突堤に鳥ガ集まっています。今日もコクガン?と思いきや残念でした。

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 なあんだ と言っては失礼かもしれませんが、うちの近くにもたくさんいるカルガモくんでした。 自分ではここを「カルガモ浜」と覚えることにしました。たくさんの浮きが浮かんでいるので、何かを養殖しているようです。

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 わずかに砂利浜がありましたが、石だけで海浜植物は何も生えていません。

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 やはり揚船場に海草はしっかりと生えていました。今日は、日曜日で人もいないしエサもあるのにコクガンたちは来ていません。帰りは、車の通りでなく、山に入る道を辿って行ったら、隣の津の宮漁港へ裏から入って行く道でした。

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 年のため昨日のところへ近づくと、ここにはやっぱりコクガンが来ていました。6羽とヒドリが1羽。

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 食べたり、毛づくろいしたり。天気もいいし日曜で静かだしコクガンからものんびりオーラが感じられます。(逃げられないように遠くから撮っているので、ボーっとしてます)

 

 この日参加したセミナーの内容です。

 海辺のセミナー ~7年目のいまだから、私たちの海辺を考えたい~

 東日本大震災から7年。海辺の景色や環境はどのようにかわったのでしょうか。そして、私たちは世代を超えて、自然の脅威に向き合い、豊かな恵みを共にすることができるのでしょうか。

 3回シリーズのうちの2回目の講演や交流がもたれることになっていました。

 この近辺に住んでいるわけでもないのにとは思いましたが、茅ヶ崎海浜植物とは違うのだろうか、どんな活動をなさっているのだろうか、三陸海岸の海辺のようす、海浜植物のことも知りたいと思って参加しました。

 その日の講演は、島田直明さん(岩手県立大学准教授)の「三陸海岸の砂浜 海浜植物と防潮堤」です。

 植物生態学が専門の先生ですから、私が学んできた海辺の植物の話が出てきてたいへん身近に感じながら話が聞けました。お話の中に茅ヶ崎辺りでは普通に生えているハマゴウという名が出てこないので、お聞きすると東北ではハマゴウは育たず、代わりにハマナスが一般的だと教えてもらいました。

 また、植物の種を取り、苗を育て、海辺に植栽する活動を岩手県でもやっているという実践のお話もありました。場所は、違うけれども活動の基本は同じなんだなあと思いました。

 交流会では、地域で活動していらっしゃる方たちから予想した通り、防潮堤が山からしみ出している水を遮断して砂浜に栄養分が届かないのではないか という話があり興味深かったです。

 午後4時で終了。

 私は、どうしても4時半のBRTに乗らなければならなかったので、タクシーを呼んでもらって会場を後にしました。

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 陸前戸倉の駅です。まわりには自販機があるだけでお店など1軒もありません。トイレと待合室があるだけです。

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 上り、前谷地駅行きのバスがきました。車両感応式信号の前で必ず停車します。鉄道と同じで単線ですから途中ですれ違いができません。すれ違うのは、こういうところのみです。行きに志津川へ行った時にあまりに長いトンネルなので、どれくらい距離があるのか運転手さんにきいたところ、出てきたトンネルは、3,8キロあるのだそうです。鉄道の時からの物だそうですが、幅が狭いので圧迫感があるせいかすごく長く感じました。

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 4人しか乗客はいませんでした。日陰の多い山の中を通って行くのでここはずっと雪道でした。この日私は、峠の一軒宿追分温泉に泊まることにしていたので、BRTに一駅だけ乗って陸前横山という駅で下りました。ここからは、タクシーか歩いて行くしかないので、宿の方が手配をしてくれたタクシーに乗って宿へと向かいました。

 貴重なイヌワシが1羽生息していると言われている南三陸との境の山の中に入って行きます。もうだいぶ薄暗くて道は凍っているはずでしたが、この峠道は雪が降ると一番に融雪剤が撒かれるので凍らないから大丈夫だと運転手さんが話してくれました。宿は峠を少し下ったところにあります。

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 これがお宿です。
 2012年の9月に一度来たことがある温泉ですが、その時は気づきませんでしたが、暮れなずむ頃の追分温泉の灯りは特別でした。オーナーがLEDとか蛍光灯とかは嫌いで、普通の電球を使っているのだと運転手さんが話してくれました。窓からこぼれるオレンジ色の灯りは本当に温かで心を和ませるのだと改めて気づかされました。窓枠もきっと彼独特の美学なんでしょう。昔の学校の窓のようです。

 夜空には冬の1等星たちが特別の輝きを放っていました。

 つづく。

南三陸への旅3(ラムサール湿地登録地・志津川湾ーコクガンを訪ねて)

 午後はどこへ行ったらよいものかと思って、職員の方にコクガンが立ち寄るところはこの辺りにはないかとお聞きしたところ、隣の漁港に来ていることがよくあると教えてもらえたので、さっそく行ってみました。

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 人通りが少ないので、歩道の雪は解けていません。たぶんカラスの足跡でしょう。なかなかアートだなと思いながら通り過ぎました。

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 泊まっている宿を通り過ぎて窓から見えていた「津の宮漁港」へやってきました。道の上からはよくわかりませんでしたが、揚船場の斜面に何とここにいるだけでも7羽のコクガンを見つけました。もう少し近づきたいのですが、ここからが問題です。漁具が置いてあるのでダイレクトに近づくことはできませんが、その漁具に身を隠して回り込みました。

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 まだ気づかれていないので、望遠仕様でここまで大きく撮れました。羽の模様も水かきの色も意外と短い脚も嘴もみんな見えます。

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 彼らのお目当ては、この赤茶色の海草です。フノリっぽいですが、名前は確かめていないのでわかりません。もう一つ緑色のもそばに生えていました。

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 一羽ヒドリガモが混じっていましたが、海藻類はたくさんあるし、決して独り占めしようと意地悪をするわけでもなく仲良くツーショットです。カラスだとどうだかわかりませんが、人間はもっとあさましいに違いありません。

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 雪を踏むとゴシゴシという音が聞こえるので、少し近づいた時に気付かれて逃げられてしまいました。海の中で泳いでいたのも入れると、コクガンは15羽ほどいたようです。

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 あーあっと思っていたら、堤防のところに1羽だけ残っていたのが目に入りました。

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 この子です。子どもだと決めつけることはできませんが、体も小さめ、それに横を歩く私にお構いなく水に浮いている海草を探しているのです。怖いもの知らずだということで、子どもじゃないかと思ったわけです。

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 たぶんこの海草は、アマモの仲間じゃないかと思われます。ほかに誰も食べていないので、ちょっと新鮮さに欠けるけれどもまさに独り占めです。光線の具合もあるでしょうが、黒いはずの首の辺り、背中の羽の色などを見て、やはり幼鳥ではないかと思いました。(成鳥は、黒いところはしっかりと黒い)

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 目が合いました。あったと思っているのは、私だけかもしれませんが。体と同じ色の目なので、遠くからだと本当に目を見つけることが難しいです。こんなかわいい顔をしているのだから、まだ子どもですね。

 土曜日だからなのか、雪が降ったりして荒天だからなのか、午後の漁港で人に会うことはありませんでした。コクガンの好きな場所が分かっただけでも大収穫、それに怖いもの知らずの幼子にも会えて心がいっぱいになりました。

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 帰りがけすぐ近くにある「タブの木」のお店の前を通ったら、木彫りのモアイ像が並んで立っていました。南三陸町にはいろんなところにモアイ像があるのだと書いたものを見ましたが、ここに一つありました。作業所が裏にあるので使ってはいるのでしょうが、このお店は今はもうやっていないのだと聞きました。

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 左手の高台に見えるのが今回泊まった民宿です。建物の高さぎりぎりまで津波が押し寄せたのだそうですが、辛うじて流されずに済んだのだと聞きました。自宅は流されて今は、造成した高台の土地に自宅を建てたのだそうです。

 民宿へ帰ってから、一休みしてお楽しみの夕食でした。この日も大判振る舞いでした。

カンカンに入れて蒸した牡蠣

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  マコガレイの煮つけ

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ゆでた毛ガニ(いわゆる高級な毛ガニとはちょっと違う)

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どんこの味噌汁(どんこというのは、八戸でも見かけましたが、深海魚。魚屋に並んでいる時は、風船のようなものが口いっぱいに膨らんでいる)

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刺身の盛り合わせ

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カキフライ

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ワカメや牡蠣やタコや貝などあえ物や煮つけ

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また続きます。

南三陸のへ旅2(ラムサール湿地登録地・志津川湾ーコクガンを訪ねて)

 26日朝

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 朝 宿の障子を開けて外を見ると、雪景色でした。高校生の頃仙台に2年ばかり住んだことがあるので、東北でも太平洋側は雪がほとんど降らないと思っていました。ところがこんな海の近くで積もるなんてちょっと驚きました。積もっているといっても5cmほどでしたが、宿の方は「ふだんだと海からの横風でほとんど積もらないのに。」と言って玄関前の雪かきをしていました。

 

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 坂道を上って下りたところにこの「海のビジターセンター」がありました。グレーのモダンな感じの建物です。これは正面でなくテラスのある海側から写したものです。雪が止んだ午後に写したものなので雪もだいぶ解けています。「海のビジターセンター」と名付けたのは、もう一つ石巻の北上エリアに「川のビジターセンター」というのがあるからだと思います。館長は兼任です。

 

 思ったより早めについたので、申し込みの電話やメールの時からお世話になった女性職員に「今日コクガンは来ていますか?」と思わず聞いてしまいました。すると、朝2羽やってきているのを見つけたので大丈夫です。」との返事。ほっとしました。鳥というのは気ままですからいつも同じ場所にやってくるものではないので、果たしてこの日この時間に来ているのか、主催者でもないのに秘かに心配していました。

 

 9時半、玄関ロビーで今日の主催者宮城県の担当の方、それに南三陸ネイチャーセンター友の会の会長さん、伊豆沼・内沼環境保全財団 総括研究員の方からご挨拶がありました。参加者は、ざっと40人くらい。ほとんどは県内の方とお見受けしました。

 

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 さっそく2階のテラスに上りました。朝方は雪もちらちら降って曇り空だったのに、この時間になって雲間から陽が射し海が青く見え始めました。最高の舞台設定にちょっと感動してしまいました。志津川の街の方を眺めた風景です。湾のあちこちに養殖いかだが点在しています。

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 次にビジターセンターの外の防潮堤に上り観察をしました。私のコンデジですから、一生懸命望遠仕様にしてもこれが限界。でも、2羽のコクガンを写すことができました。

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 もう少し大きく写せたのがこれです。首から背中にかけて黒く、首には首輪のような白い模様が入っているのが特徴です。マガンに比べると黒と白のコントラストがはっきりしていてちょっとおしゃれな感じがします。

 ここで、県の職員から面白い話を聞きました。コクガンは潜って海草を取ることができないので、横を泳ぐオオバン(やっぱり羽の色は真っ黒)が潜ってくわえてきた海草をさっと横取りするのだそうです。なんだかオオバンが気の毒なような気がしますが、コクガンにとってはそれも生きる知恵の一つなんでしょう。でも、オオバンの唖然とした表情を思い浮かべちょっと笑ってしまいました。

 

 次は、レクチャールームでの講演です。お一人目の方は、この地域で志津川湾の恵みをこれからもずっと受け取るためにというテーマをもって活動していらっしゃる方です。

 志津川湾は、寒流の親潮、暖流の黒潮(一部対馬海流津軽海峡を通り抜けてやってくる)がちょうどこの辺りを潤す環境にあり、海の中に寒流系の昆布、暖流系のアラメ、浅瀬の海に生えるアマモ類が森を形成しているように生えています。海草や海藻をゆりかごにしていろんな魚たちが集まります。まさに生物多様性が担保された海なのです。

 コクガンは、この湾に生えているアマモなどの海草やアオサなどの海藻を餌としているため冬シベリア方面から渡ってくるのです。内陸には来ないので、海の草や藻じゃないとダメなのでしょう。

 このほかにこの地域では、イヌワシの保存にも力を入れているのだそうです。かつては町鳥・イヌワシと呼ばれるほど確認されていた鳥ですが、今は山の手入れがなされなくなって成育に適した環境にないためすごく心配な現状だそうです。

 次の講演は、このコクガンの渡りのルートがまだわからないため、それを明らかにして保存につなげようとしている研究の話です。

 冬期北海道の野付半島辺りにやってくるコクガンは、そこから三陸沿岸へもやってきているのですが、春の渡りの個体数と秋の渡りの個体数に大きな違いがあること、それに野付からシベリア方面の繁殖地にどのルートを通ってどこで繁殖しているのかもまだ解明されていない鳥で、ドキドキワクワクする研究に違いないと思いました。

 今は、捕まえて衛星通信機をつけて個体の飛行経路を確かめるという便利な方法が使われます。伊豆沼のカモやハクチョウたちは餌付けされているので、割合エサで集めて捕まえることが容易ですが、コクガンは用心深いしエサではおびき寄せることができません。そこで、よくコクガンが現れるところにインターバルカメラを設置して観察を続けたそうです。その結果、毎朝早く海岸に流れ込む小さな川の河口に決まって現れることがわかったそうです。コクガンも、真水を飲みにやってくるのです。そこで集まった9羽のコクガンに網をかけ捕獲し、そのうちの5羽に通信機をつけて放したそうです。

 2015年6月、9羽のうちの1羽がシベリアのレナ川近くで撃たれて回収された情報が届き、おそらく北海道や国後島で越冬したコクガンは、シベリアのレナ川河口付近のデルタへ渡るのが1つのルートであることがわかったそうです。

 

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 お昼は、一番近いコンビニまで8キロ歩かなくてはならないというので、民宿の方にお願いして届けてもらったお弁当を食べました。そろそろ帰ろうかと外へ出たら、たくさんの群れが泳いでいるのを見つけました。コクガンかと期待しましたが、残念ながら遠目にも頭が茶色いのがわかりました。ヒドリガモです。(ごめんなさいヒドリガモ

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 浜に下りていっても、ガンのように素早く逃げていくことはなく、結構近づいても驚かないので、びっくりするほど大きく撮れました。

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 天然羽毛をいっぱい膨らませ、砂浜に打ち上げられている茶色い藻をつまんでいるところでした。オスばかりに見えますが、1羽だけ地味なメスが混じっていました。

 続きます。

 

 南三陸町への旅1(ラムサール条約登録湿地・志津川湾ーコクガンを訪ねて)

 お正月にインターネットで「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター」のお知らせを見ていたら、「コクガンの観察と講演会」という企画がのっていたので慌ててチェックしたのがこの旅行のはじまりです。

 

 コクガンというのは、同じような仲間を入れると結構な数いるらしいのですが、アジア太平洋地域を越冬地にしているのは、世界的に見ても8000羽くらいで絶滅危惧種と言われている鳥です。そのコクガンが南三陸町志津川湾に毎年200羽から300羽くらい越冬地としてやってきているというのです。越冬地の南限です。

 

 昨年の10月、この志津川湾が新しくラムサール湿地として登録されました。宮城県では①伊豆沼・内沼、②蕪栗沼、③化女沼に加え、4番目となります。これを記念しての観察会と講演だということで、めったにない企画であるということと、今のうちに行かないと本当に体が効かなくなったら行けなくなるという焦りも手伝っていくことを決心したという次第です。


  南三陸へは、2012年夏に気仙沼まで行った時に通ったことがあります。気仙沼線は途中から線路が流されていたので代行バスを使ってしか行くことができませんでした。南三陸ばかりではありませんが、どこも土台のコンクリートだけが残る夏草の生える空き地が続き、建物の屋根の上に船が乗っかっている姿も見えました。内陸の登米町から南三陸へ入り前が開けたとたん青い海がきらきらと光り緑の島が見えた時は、津波で被災さえしていなければなんて美しいところなんだと思ったものです.。

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 2012年も同じルートで行きましたが、仙台までは新幹線、東北本線に乗り換え、小牛田(こごた)まで行き、この2両編成のワンマンカーに乗り換えです。以前も驚きましたが、電車でもワンマンカーです。運転手の横に整理券があるので、乗る時は1両目に乗ります。もちろんドアはボタンを押して自分で開け、寒いので長い停車時間になる時は、後ろから乗る人に気をつけてボタンを押して閉めます。無人駅の場合は運転手が切符を受け取ったり一人で何役もこなすので結構大変そうですが、お客さんが少ないので何とかなっているようです。

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 前谷地という駅で、気仙沼線石巻線が分かれます。気仙沼線といっても次の柳津という駅までしか駅がないのですが、一応乗り換えなんです。前谷地か次の柳津でこのBRT(JRの線路のあったところを舗装して作った鉄道バス専用道路です)に乗り換えます。今回は、次の柳津で乗り換えなければいけなかったのに、ワンマンカーの運転手さんが「ここから乗り換えた方が早いですよ。」と盛んに勧めるので乗り換えずに降りてしまいました。ところがこの駅の駅員さんに「この時間帯は、ここからはBRTが出ないから1時間半以上待つことになるよ。」と言われ、ショックでした。この日は雪がちらちら舞っていたので、とても寒かったのです。小さな電気ストーブが置いてある駅舎で待つこと1時間半、このバスに乗りました。

 

 この日は、26日の前泊だったのでお宿に直接チェックインするにはちょっと早いようなので、「さんさん商店街」のある志津川まで行ってみました。本当は、そこでイクラがどっさりのった「きらきら丼」をお昼に食べようと思っていたのに、残念ながら到着したのが3時を回っていたので、お店は休憩時間に入っていて叶いませんでした。仕方がないので、牡蠣コロッケとタコのから揚げをつまんでやり過ごしました。

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 ここにモアイ像が飾られています。チリ地震津波で壊滅的な被害があった志津川チリ共和国はその時から繋がりがあるのだそうです。今回の津波でも大きな被害を受けた志津川に思いを寄せ、イースター島から黒曜石とサンゴの目が入ったモアイ像が特別に贈られたそうです。そのうちの1体がこの商店街に立っています。「モアイ」というのは、イースター島の言葉で「未来に生きる」という意味があるそうです。

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 来月で被災してから8年になりますが、商店街のすぐ横は今も工事が続いています。志津川地区は湾の一番奥まったところで、被害も大きかったのだと想像できますが、全体を10mかさ上げする工事がまだ終わっていないので、街がどうなるのかも見えてきません。

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 この写真が被災した直後のものです。川の堤防がずっと低く、向こうに見える防災センターの建物の高さが違っているので、盛り土のようすがわかると思います。これが被災地の8年目の姿です。

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 これは、志津川のBRTの駅です。この辺りは普通のバスとあまり変わりがありません。一応、トイレと待合室兼乗車券売り場があって1人駅務の女性がいました。食べるところを教えてくれたりとても親切に応対してくれます。途中からかつては線路が敷いてあったと思しき狭い道(単線ですから)に入ります。10分くらいで宿の最寄りのBRTの駅に到着です。
 

 今回の観察会と講演会は、戸倉地区にある「海のビジターセンター」で行われることになっていましたので、ビジターセンターへ歩いても10分足らずという道のりにある民宿に泊まることにしました。BRTの駅から歩くと約一時間かかるというので、宿の方に迎えに来てもらうことにしました。住民バスというのがウイークデーには一日3本のみ通るらしいのですが、時間外は歩くかタクシーしか手段がないという不便なところです。

  突然ですが、この日の夕食です。

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 ご主人は漁師さんだそうで、民宿は奥様が1人でやっていらっしゃいます。海の幸がこれでもかというほど出るのでびっくりしました。

 味噌汁は、毛ガニとひっつみ、大きいお皿は、タラバガニとつぶ貝?と枝豆、手前のはメカジキのカマの煮つけ

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左から ホタテの焼き物、刺身の盛り合わせ、アワビの刺身

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 左手前からホタテとキュウリとワカメの酢の物、茎ワカメとニンジンの炒め物、メカブの耳(一瞬ピーマンかと思います)、おでん、レンコンとワカメと生ガキの酢の物、もやしとハムのあえ物

 とにかく全部は食べきれず、メカジキのカマ、おでんは一つも手を付けず、後はタラバガニ、アワビなどチョコチョコと残してしまいました。ふだん野菜が主な食べ物なのでちょっと胃腸がびっくりしていたようです。

 続きます。

寒さに負けない食

 ハイビスカスの花

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 この冬の入口は、何だか暖かくて紅葉した木々の葉もなかなか地上には落下せず、ベランダに出していたハイビスカスも枯れずに頑張っていました。

 12月の初めいよいよこれはと思った日に、カレーリーフと一緒にうちの中に入れてやりました。つぼみに赤みが差しむくむくと大きくなってきてこれは咲くかもしれないと思っていたのですが、3日前ポトッと落ちてしまいました。約6週間、ほとんど変わらない大きさのまま受粉せずに命を終えてしまったのです。それでもなんだかかわいそうでペットボトルのキャップに水を入れて活けていましたが、赤い花弁が黒ずみ始めました。

 冬の入口が温かかったことも手伝ってこの冬は、定番の電気コタツもうんと寒い時用のエアコンも使っていませんでした。やせ我慢です。昨年元朝日新聞社の記者だった「稲垣えみ子」さんの本を3冊ほど読んでとても共感する部分があったからです。彼女は2011年の原発事故以後自分の生活を見直して、電気製品を極限まで捨てたという話には学ぶべきものがあったのです。

 私は、自分にできることはと考えて、冷暖房を節約しようと思っていました。以前から夏、エアコンを使うのは、夕刻から夜寝るまでの数時間だけ、それも1週間くらい。冬はコタツのみ、エアコンはほとんど使ったことがなかったのですが、11日に体の調整をしてもらいに行った時、「首ががちがちですよ。」と言われて、年寄りなので血管がどうかなっても困るし、ハイビスカスの花が開かないのはあまりにも室温が低いからだろうと考えて、とうとう一週間前から朝と夜の数時間だけエアコンを使い始めました。

 昨日は、大寒。一番寒い時だと言われていますが、まだまだ底には達していない気がします。やせ我慢をしてわかることの一つは、座布団に座り上から毛布を足腰まわりに巻いているだけで、自分の体から出る熱が半端なく温かいということです。生きているということはそれだけで温かいのだと思いました。

 もう一つは、体の中から体を温めることが大事だということです。正月明けから都心へ出かけることが多く、昼間はほとんど家を空けていましたが、ようやく予定がなくなり、三食まじめに食事を作れるようになりました。こういう寒い時には、汁物が体を温めてくれるので、毎食何かしら作っています。

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 左は、焼き鮭と焼きレンコンのコンソメスープ

 右は、ニンジンのぬか漬け

 予め、フライパンに油を引いて塩鮭とレンコンを焼いておき、器に入れる。コンソメスープの素を湯で溶いておいて器の上から注ぐ。レモンを添えてしぼるととてもさわやか。

 ニンジンのぬか漬けは、半端な野菜がある時にぬか床に入れておいたものの一つ。ニンジンは、抗酸化作用があるので意識して取っている。

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 今日の昼。

 左、玉ねぎとサツマイモと三色豆のカレースープ

 右、赤玉ねぎのスライスゆずポン酢かけ

 玉ねぎはくし切り、サツマイモは1cmほどに切り、鍋に油を引いて炒め、和風だしを分量(2人分で750㏄ほど)入れ、芋が柔らかくなったら冷凍の豆をカップ1杯ほど入れる。最後にそばつゆとカレーフレークをスープの味をみながら入れて出来上がり。

 蕎麦屋うどん屋)のカレーうどんの香りがして食欲をそそるし、体もすごく温かくなる。

 玉ねぎのスライスは、一番先に切って空気に20分くらい触れさせておく。かつお節とゆずの皮をちらし、柚子の果汁と薄口出汁醤油で調味する。冬は、血圧が高くなっているので、できたら毎日でも玉ねぎは摂りたいと思っている。

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 これは、昨日の夜の献立。

 左は、春菊としらすのチヂミ。

 右は、スンドゥブチゲ

 春菊一把使って作る。小麦粉と出汁を溶いたものに塩少々、春菊、しらす(ちりめんの方がいいがしらすしかなかった)を入れる。春菊の茎は小口切り、葉は4cmくらいに切って入れる。フライパンにごま油を引いて、片面5分蓋をして焼く。ひっくり返して縁から胡麻油を足して5分焼いて出来上がり。たれは、醤油と酢を等分唐辛子を好みで入れる。

 春菊は、免疫力を高めr、風邪の予防にとても良いと聞く。インフルエンザの予防は、予防注射でなく、食べ物で。

 チゲの方は、キムチを胡麻油を引いた鍋で炒め、斜め切りの長ネギと半分に切ったシイタケを合わせ、出汁を入れる。煮立ったら豆腐と春菊を入れ、温まれば出来上がり。

 これも簡単で体が温まるし、週に1回は献立にする。

 

 たまに 魚が献立に載りますが、基本は、植物性の食品と決めているので毎日レシピとにらめっこ。ここのところようやく少し慣れてきたというところです。因みに退職してから熱を出すような風邪を引いたことはありません。ちょっと自慢です。

 皆様も寒を乗り切るためにも体にいい食事をして下さい。私の寒中見舞いです。

 

 

伊豆下田の旅 ー温泉 水仙 そして金目鯛ー

 年末に下田へ行ってきた。年の終わりに骨休めに温泉にでも浸かろうかというだけのことだった。と言っても泊まるところにあてがあったわけではないので、結局ネットで安いお宿を見つけた。決め手は、金目鯛の煮つけが夕飯に出るということだけ。

 崎陽軒のシュウマイ弁当を買って踊り子号に乗り込む。列車の右側はガラガラ、左側だけにお客が集まっている。それもそのはず伊豆へ向かう時、左側だけ海が見えるからだ。窓から伊豆の島々が見える。初島だ、大島だなんて言っているうちにあっけなく下田へ着いてしまった。 伊豆半島は温かく寒暖の差がないので紅葉狩りの話はあまり聞かないけれども、まだ赤や黄色に色づいた山々を見られるおまけ付きだった。f:id:yporcini:20181226135831j:plain

                        旧澤村邸(ギャラリー、休憩所)

 以前に一度下田へは来ているが、旅行社のお膳立てしかもグループ旅行だったのでほとんど記憶に残っていない。着いた日は、雨こそ降らなかったけれども曇り空。駅から地図を見ながら古いナマコ塀のある町屋の残る通りを歩き、日米和親条約を結んだ了仙寺や、ペリーロードと呼ばれる川に沿った界隈を歩き、早めにお迎えバスに乗って宿へ向かった。

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                    ペリーロードの風情のある家(骨董屋)

 1階の八畳の部屋(部屋タイプはお任せ)ということだったのでどんな部屋かなと思っていたところ、3階の十畳の部屋にグレードアップされていた。この日は夕日こそ見えなかったけれども、窓からは海がよく見えた。食べきれない数の料理の数々、それにゆっくりと浸かれた温泉と満足の一日目が過ぎた。

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                            宿の玄関先から見えた浜

 翌日は天気が良さそうなので、爪木崎へ行こうということになった。駅から、爪木崎行のバスが出ていた。途中須崎という地名を見て確かここにも天皇家御用邸があることに気がついた。30分くらいだっただろうか。爪木崎のバス停に到着。バスを降りてちょっと歩くだけで水仙の甘い香りが上ってくる。日本水仙は、派手さはないが香りは上品で私は大好きだ。

 

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 12月20日から水仙まつりということで咲いていることはわかっていたが、すでに斜面を白く染めていた。5分咲きというところか。やっぱりここも暖冬なのか春が早いようだ。左に寄ったところにうっすら立っているのが灯台である。やっぱりここまで来たら灯台の真下まで行こうと右側の山道を歩いて行った。

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 やぶ椿が咲く林のところどころに展望台がある。右方向が須崎。ハイキングができるような道が続いている。三浦半島岩礁の道を思い出し、今度来た時は歩いてみたいものだと思った。青い海を背景にツワブキの黄色が鮮やかだ。

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 爪木崎灯台が近づいてきた。右側にうっすら見えているのは新島だそうだ。伊東からずっと島が見えていて、伊豆七島は割合近いことを知った。f:id:yporcini:20181227113443j:plain

 爪木崎灯台の真下へ到着。昔は灯台守のことが歌になるくらいだったが、今は、ほとんどの灯台は、無人なのだろう。ここからまた元来た道を戻りながら、西側に岩が広がる浜へ下りてみた。

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 この辺りの海岸には、柱状節理と呼ばれる岩石が隆起している。火山の爆発でできた地層にマグマが入り込み収縮してこのような不思議な形になったのだという。爪木崎の柱状節理は、この辺りでは「俵磯」(たわらいそ)と呼ばれているそうだ。

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 上から見ると柱の頭のところは、鉛筆のようにきれいに六角形になっている。本当に不思議な形の岩たちだ。これだけでなく伊豆半島には火山によってできた不思議な地形がたくさんあると聞いたので、機会を見つけて歩いてみたいと思うのだがもう無理かもしれない。

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 茅ヶ崎に行くようになってから、浜や磯を歩くと見過ごせないのがそこここに生えている植物たちだ。左上から、ハマヒルガオ、ハマアザミ、ソナレムグラ、アシタバ、ボタンボウフウ。最後のボタンボウフウは、長命草とも言われ、この頃ではわざわざ栽培して美と健康のために粉末や粒に加工され商品として高く売られているということも近頃知った。

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 崖を覆う日本水仙の群落。この水仙の故郷は、地中海沿岸らしいが日本には中国を経由して入ってきたと言われている。ここにも海流に乗って流れ着いた球根が根付いたのかもしれない。

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 爪木崎のほかにも日本水仙の群落は、福井県の越前岬にあると聞いているが日本海の方は、寒さが厳しそうなのでもっと凛とした香りの花が咲くような気がする。

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 浜の方へ下りるとアロエがこれも花盛り。鶏の首のところを連想してしまうのであまり好きな花ではないが、青い海との対比は鮮烈だ。

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 地元の干物、干し柿、天草。水仙の花などを売る青空市が開かれていたが、お店の人は、「こんな風のない日は珍しいんだよ。ここは天気がよくっても風が強い日は寒いからね。いい日に来たねえ。」と言っていた。この日も曇りの予想だったので、私たちは運がいいということになる。湘南も三浦半島も冬は、西風が強く吹くという話を聞いているので、伊豆半島も同じなんだなと思った。

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 最後に この日のお昼に食べた「金目鯛あぶり棒寿司」。下田は、金目鯛の水揚げが日本一なので、キンメはどうしても食べたいと思っていた。魚市場近くの回転ずし「魚どんや」で食べた。地魚のお寿司もいくつか食べたが、この「キンメのあぶり棒寿司」がピカイチだった。タレのついた皮は香ばしくパリッと焼けていて身は脂がとろっとしていて美味しいですよ。

 今年もどうぞよろしくお願いします。

バングラデシュカレー

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 12月16日に生協のイベントでバングラデシュカレーを作るワークショップに参加した。教えて下さったのは、「シャプラニール」という市民による海外協力の会の活動家でバングラデシュやネパールなどに長い間駐在していた女性。

 今日の昼ごはんに教えてもらったそのカレーを作ってみた。このところ自分の作るものには動物性の肉は使わないようにしているが、このレシピはチキンを入れるようになっているので今回はレシピ通りに使ってみた。

 材料は、チキン、玉ねぎ(みじん切り)、ジャガイモ、トマト。

 あとは、ショウガとニンニクのすりおろしをどっさり入れることとたくさんの香辛料を入れること。

 香辛料は、ターメリック、唐辛子パウダー、コリアンダー、クミンシード、カルダモン、シナモンスティック、シナモンパウダー、ローリエ、塩、油(菜種油)

 水は、少し入れるが少し入れるだけで基本的には、材料から出てくる水分を大事にして焦がさないようによく混ぜる。ジャガイモもチキン(表面を焼いておく)も蒸すようにして熱を通すところが大事だと勝手に思っている。

 ふだんは、簡単に出来合いのカレー粉を使ってしまうが、こうやってちゃんとスパイスを入れて作るとそれぞれが香り立ち鼻をくすぐる。大人用にするときは、唐辛子粉を多く入れ、塩味も好みで量を調節するといい。

 トマトの酸味がすっきりとした味わいにしているし、ジャガイモがホクホクしていてとっても美味しい。

 私のうちのコメは玄米で小豆を入れて炊くので、こんな色をしているけれど、もちろんバングラデシュでは、白米、長粒種とは限らないそうだ。

 

 この日は、夏に予定していたハートカフェが、台風で中止になったのでその代わりに会場の都合で縮小しての開催。ハートカフェというのは、世界について平和について考えようという取り組みの一環。

 プログラム

 1中村雄子さんの被ばく体験のお話

 2ロヒンギャ支援緊急募金報告会

 3バングラデシュカレーを作ろう

 4ラオス語絵本作り

 5フェルトでブローチを作ろう

 6伝統刺繍「ノクシカタ」体験

 7エレナさんのえいごで絵本の読み聞かせ

 このプログラムの中から時刻表で重ならないカレー作りとロヒンギャ報告会と「ノクシカタ」体験をさせてもらった。

 「ノクシカタ」刺繍

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 この伝統刺繍は、古くなったサリーに使った布を2,3枚重ねて布を丈夫にして再利用するための刺繍で日本の刺し子にあたる。並み縫いがほとんどで単純だが、図案、色も独特。フランス刺繍のような華麗な感じはないけれど、温かい感じがする。たかが並み縫いだけれどこれだけ刺すのにも膨大な時間を要する。私は、結局風車のような花の花弁を4周くらい刺しただけで30分が終わってしまった。

 

ロヒンギャ報告会

 生協でロヒンギャ緊急支援カンパを取り組んだので、その報告がユニセフとシャプラニールから映像を交えて行われた。

 ロヒンギャの人たちは、ミャンマーから追い出され、ミャンマーとの国境にあるバングラデシュの街の難民キャンプで暮らしているがバングラデシュでも定住は認めないという。この地域は、ビルマと呼ばれていた頃はイギリスの植民地、第二次世界大戦の時は、日本が占領していたり、なかなか複雑な問題を孕んでいるような気がする。

 ロヒンギャの人たちは、安心して暮らす場所が見つからない。竹の骨組みにシートをかぶせただけの家がほとんどで、雨期に入ると老朽化した家はひとたまりもない。食料(粉ものがほとんどで、生鮮食品は見られない)水、トイレなど課題が多いという。子どもの教育は言わずもがな。

 シャプラニール(蓮の花の家という意味のベンガル語)は、ロヒンギャの難民の支援が緊急なので取り組みを開始しているが、基本的にはバングラデシュやネパールを中心にした活動をしている国際協力NGO

 創立45周年を迎え、「誰も取り残さない。」というスローガンをかかげ、

1、子どもの権利を守る。

2、災害に強い地域をつくる。

3、フェアートレードを通じ共生できる社会をつくる。

 この日は、フェアトレードの商品の展示即売もあり、私はシャプラニールからバングラデシュとネパールの女性の自立を目指して作っている石鹸やリップバーム(1000円ほど)ラオスからは絹の布の箸袋(1800円)を購入した。ふだん普通のお店でアジアの製品を買うととても安い値段で買えるが、フェアートレードの商品は安全で安心な材料を使っているし、比べると高い。その差がフェアーかそうでないかを表わしているのではないだろうか。

 日本政府は、労働力が足りないからとよく審議もしないうちに強行採決までして外国人労働者を受け入れようとしているのに、こうした行き場のない難民の受け入れにはものすごく消極的。もうすでに日本は移民の国になりつつあるのだから、本当に困っている難民受け入れに積極的であるべきだと思うのだがどうだろうか。

 イエメン、パレスチナロヒンギャ・・・子どもに食べ物が届かず命が奪われている国がなんてたくさんあるのだろうか。年の終わりに寂しい話になりました。

 今年も拙いブログをご覧いただきありがとうございました。