前日の続きです。
植物園を出て、向かい側の道を右の方へ進むと
英連邦の戦死者を葬った墓地があります。
入ったところは、一番広く、よく手入れされた芝生が広がっています。
2012年のブログにこの墓地について詳しい説明を書いたので、今日は簡単に。
ここは、第二次大戦で、日本軍の捕虜になり、日本に送られる途中で死んだり
日本の工場や炭鉱や港の強制労働や爆撃などで亡くなった兵士たちのお墓です。
戦争でつらい思いをしたのは、日本人だけではないことが身近でわかります。
右側の小道を歩いていくと、イギリスにあるような大きな木があり、
葉が茂っている時には、大きな木陰を作ってくれます。
たった一つ、ベンチがあります。
ここへ来るたびに、このベンチで本を読みたいなと思います。
散歩をする人がたまに訪れるだけで、普段は本当に静かなところです。
本のページをめくる音まで響いて聞こえそうです。
道を進んで行くとエリカの花が咲いていました。
例年よりちょっと早いのではないかという気がします。
イギリスでは、ヒースと呼ばれている花です。
真ん中が茶色くなっているので、ジャノメエリカと呼ばれています。
ここからは、ヒース越しに英連邦本国、イギリスの墓地が見渡せます。
ふるさとの花に見守られているような気がします。
旧英連邦の国をいくつかの区画に分けて葬ってあり、
この区画には、インドとパキスタンの兵士の墓があります。
国の名前が書かれている 真ん中の碑に
十字架を付けてないのは宗教に配慮しているのだと思いました。
秋バラがまだ咲いています。
一人一人の墓石には、国名、所属、年齢、家族や友人からのコメントが
刻まれています。
私は、墓石に刻まれた文字を見る度に、
20代の若者がこれからという時に
戦争に駆り出され、異国の地で死ななくてはならなかった無念とか
家族の悲しみが手に取るように分かって、目頭が熱くなってきます。
この道の奥にカナダ区画の墓地があります。
もみじやドウダンツツジの赤が深まりゆく秋を告げています。
前方には、ニュージーランド、後方にカナダの墓石が並んでいます。
モニュメントに花が供えられていました。
旧英連邦の国々の政府要人が日本へ訪れると
必ずここにお参りにくることになっているようです。
きっと今日あたりカナダからのお参りがあったのだと思います。
今年2月にイギリスのウイリアム王子が日本へ来た時も
ここへお参りして献花しています。
もちろん、お母さんのダイアナ妃も訪れています。
先日野坂昭如さんがお亡くなりになりました。
戦争を知っている人がだんだん少なくなってきています。
私も戦後生まれで戦争を知りません。
戦争がどういうものであるのかを想像するしかないのです。
ここは、外国の人の墓地ですが、
戦死した人たちの声なき声が聞こえてくるところです。
青空の高いところでスズカケの鈴が揺れたような気がしました。