月曜日の昼過ぎ、鎌倉の近くまで来ているので、
散策に付き合わないかというお誘いの電話がかかってきました。
駅前で会った時は、午後2時だったので、そんなにあちこち回れないし、
私がお勧めの「覚園寺」(かくおんじ)に行くことにしました。
覚園寺は、鎌倉宮までバスできて薬師堂が谷といわれる谷戸を10分ほど歩いた
ところにあります。
山の反対側は建長寺です。
真言宗の泉涌寺派のお寺で、北条氏亡き後、後醍醐天皇、足利氏の勅願所として
大事に保護されてきたお寺だといわれています。
鎌倉は、紅葉が12月に入ってから見ごろを迎えるところなので、
十分見られると思って行ったのですが、
門を入ったところのもみじは、もう見ごろを過ぎ、
散りもみじでした。
先週だったら、この辺りは、一面真っ赤な世界だったはずです。
この水鉢にも、赤いもみじが映り込んでさぞ美しかっただろうと思いました。
このお寺さんの境内は、ここから先は、勝手に自由に入ることができません。
お坊さんが定時になると、見学希望者を
50分かけて案内してくれることになっています。
この日は、午後2時の回には間に合わず、3時の回まで待っていました。
待っている間、この寺のまわりを歩いていると、
真っ赤なもみじに出合うことができました。
覚園寺の入口のもみじもこんな感じだったのでしょう。
ちょっと場所がずれただけでこんなにも紅葉の進み方がちがうのです。
午後3時、十数人の見学希望者が このお堂の前に集まってきました。
このお堂は、廃仏毀釈でここへ移築されてきた大楽寺というお寺のもので
元々は覚園寺のものでないせいか、ここは自由にお参りできます。
この後、この寺の敷地に入る時に拝観料500円を払います。
中は、もみじが続いていて、まだこれからというもみじもあって
それこそ写真が撮れたらとみんなが思うのですが、
中は、一切写真を撮れない決まりになっています。
一眼レフのカメラを構えたご婦人が、ガッカリされていました。
というわけで、写真は一枚もないのですが、
素晴らしい仏像に出合えるので、一部紹介します。
もみじを愛でながら先へ進むと、仏殿が見えてきます。
この仏殿(薬師堂)ができたのは、1354年とのことですが、
火事があったり、建て替えがあったりして今の建物はずいぶん後のもののようです。
建て替えのときに、残っていた廃材を使っているので
天井の梁には、将軍足利尊氏の墨書きの署名が残っているのも見られます。
茅葺、寄棟づくり、そして床は土間、の素朴な仏殿です。
一歩入ると、圧倒されるほどの仏様がいらっしゃいます。
この寺の本尊、薬師如来、日光菩薩、月光菩薩の薬師三尊像です。
ここの薬師如来は、宋風の様式で蓮の花の上に衣を垂らした形で座っています。
両手を真ん中で組んだ中に薬壺を持った珍しい形です。
座っていても、約1,8mですので見上げるようです。。
その三尊を囲むように十二神将像が立っています。
三尊の右の奥まったところに、「鞘阿弥陀」がいらっしゃいます。
この近くに住んでいた川端康成は、この阿弥陀様をたいそう好んで
よくこの寺へ通っていらしたそうです。
ふっくらとした優しいお顔の阿弥陀仏で、私も大好きです。
この仏様もよそのお寺さんからこちらへ越されたと聞きました。
お坊様は、お話がたいそう上手で素人の私たちを飽きさせないように
ユーモアを交えてお話しされるので、あっという間の50分です。
「まあ、ここの仏様は本当にすごいから、絶対見た方がいいよ。」
と、友だちに無理に見させた感じでしたが
仏様を見ることができたことをすごく喜んでくれました。
私は今回を入れてもう5回ここへきていますが、
その度に感動があって、私の知る限り鎌倉では一押しのお寺です。