牡蠣の宝船
このレシピは、みをつくし料理帖の「夏天の虹」の中に出てきます。
昆布とかんぴょうで船の形を作り、
中に牡蠣を入れお酒を振って網で焼くだけのことなんですが、
不器用な私は、船の形を作るところに手間取りました。
昆布から出てくる出汁と牡蠣の旨みが合わさるのですから、
いうことはありません。
最後に柚子をしぼって入れると風味も一段と上がります。
はふはふさせて食べる客たちの息遣いまで聞こえてきそうで、
さぞ美味しいんだろうなと思って作ってみました。
ほっこり酒粕汁
このレシピは、たぶん一巻目の「八朔の月」に出てきたものだと思います。
ちょうど酒屋さんにも新酒やその酒粕が並ぶ時期になりました。
塩鮭がメインで、そのほかにダイコン、ニンジン、こんにゃく、油揚げ、しめじ
ねぎ、それに粕をすり鉢ですって出汁と合わせたものを加え、
さらに味噌、酒、醤油で味を調えれば出来上がります。
これも、寒い冬、お客さんは、「つるや」の暖簾をくぐり
粕汁で暖を取り、笑みさえ浮かべているようなそんな気がして作ってみました。
実際粕汁は、体が温まるので、冬には最適だと思います。
去年の冬仕込んだ手前味噌をここで初めて使いましたが、
うまくできていて安心したというおまけもつきました。
下手なりに美味しくいただきました。
焼き自然薯の炊き込みとろろごはん
これは、料理帖の中にあった「親父泣かせ」からヒントをもらって、
別のレシピで作った自然薯の料理です。
自然薯は、とても高くて始終買える食材ではないのですが、
先日生協に1回限りでカタログに出ていたので買ってみました。
料理帖では、ヒラメのお刺身に自然薯をすりおろしたものをかけて蒸し
最後に作っておいたあんをかけワサビをのせていただくことになっていました。
江戸時代は、ヒラメが大衆向きのお魚だったらしいのですが、
今では高価な魚となっているので、紅鮭のハラミを使って作る料理に変身させました。
変わらないのは、自然薯の処理です。
これをやってみたかったのです。
洗ってから皮を剥かずに、直火であぶってひげ根を焼き、また洗って使います。
そのままですから、一口大に切ってのせて炊いた自然薯は灰色だし、
あとからかけるすりおろした自然薯も真っ白のとろろにはなりません。
ところが、色が悪くても味わい深い芋になるのです。
紅鮭のハラミ、シイタケ、一口大に切った自然薯をあらかじめグリルで焼いておき
酒としょうゆと塩少々を入れた米の上にのせてご飯を炊きます。
半分残しておいた自然薯をすりおろしたものと出汁と醤油でとろろを作り、
炊けたご飯の上にかけ、胡麻を振ると出来上がりです。
「親父泣かせ」ではないのでみをつくし料理帖ではありませんが、
鮭のハラミの脂とシイタケの香りと味わい深い自然薯が
「親父泣かせ」に負けないくらいいい味を出していると思いました。
江戸時代の食糧事情も知りたいと思って、
今、「江戸の食文化」という本を読み始めました。