上部フンザ ゴジャール地区
2010年、フンザ川の上流にあたるゴジャ-ル地区で大規模な地すべりが発生。川が堰き止められ、いくつかの村が水の底に沈み、多くの方々が亡くなられたという悲惨な災害があった。
アッタバード湖
堰き止められた川が今では、長さ21キロ、幅1キロ、深いところは水深100mのアッタバード湖と言われる湖になってしまった。
南側の船着場
カラコルムハイウエイも5キロにわたって寸断され、現在は中国からトラック輸送で入ってきた荷物を湖の北側グルミットでボートに積み替え、今度はボートからパキスタンのトラックに積みなおしてイスラマバードやカラチへ運ばれる。
中国は、このカラコルムハイウエイを中東への重要な拠点として位置づけているようで、この道路を作るために巨額の投資をしているだろうし、たくさんの人を派遣しているようだ。
道路工事が行われているあちこちで中国人の技術者と思われる人をみかけたし、安全第一のような漢字の言葉が看板に掲げられていた。
私たちは、上部フンザのグルミット村までボートに1時間半ほど乗った。
途中たくさんの集落が見えたが、湖の際に立ち枯れたポプラの木をたくさん見た。そんなことからも、この地すべりでたくさんの集落が水の底に沈んだことを想像した。今でもたくさんの家族がふるさとを離れ、いろんなところに移住をよぎなくされ、経済的にも大変な苦労をされているそうである。
2010年の地すべりで、陸の孤島となったグルミット村ともうちょっと北のパスー村を訪ねた。パスーは、中国との国境まで115kmの地点だ。
今は平穏に見える村だが、湖の近くは、土台だけの家が残っていたり空き地となっているところも見られる。
村の女性が集まって、絨毯を織ったり、フンザ刺繍をしている工房のようなところを訪ねたり、村の民家を訪ね家の中の様子を見させてもらった。
刺繍をする女性
この村の女性にとってはささやかな現金収入の機会だと思ったので、絨毯のタペストリーの小さいのを購入。小さな35cm×20cmくらいの小さな絨毯でも仕上げるには一ヶ月くらいかかるという話だ。
パスー氷河のあるパスー村は、グルミットから更に車で30分くらいかかる。
パスー氷河
パスー氷河は、カラコルムハイウエイの道からすぐにでも入っていけそうなところにある。
でも、いくつかのブログを見ると、ガイドにお願いして道とはいえない崖を這うようにして行くしか氷河へは辿りつけないとのこと。
氷河の奥に見える雲に隠れた山は、パスーピーク、シスパーレ7611mとやはり7000m級の有名な山である。
因みに真偽のほどは未確認であるが、パスーは、「風の谷のナウシカ」の舞台となった場所だという話を聞いた。
カテドラル
反対側には、ピークがぎざぎざした壁のような山が見えたが、それがカテドラルと呼ばれる山だ。
どちらの山もずっと雲がかかって全容は見ることができなかった。
日が西に傾き始めた頃、グルミット村から再びボートに乗った。
往きは、天気がよく日当たりがいいので暖かかったが、帰りは、高い山の日陰に入るので風が冷たくてダウンなどを着込んで凌いだ。やはりここは、標高が高いのだということを認識した。
次に続く