昨日午後、真葛ミュージアムへ行ってきました。
今、ここでは”大 高浮彫展~超絶技巧の真葛焼き”
というタイトルの展覧会が行われています。
葡萄鼠細工花瓶 磁製蟹細工花瓶
上の写真の焼き物の立体的な表現が高浮彫という技法です。
私がこの焼き物の存在を知ったのは、一昨年の冬でした。
横浜の中の東海道を訪ね歩く中で、
横浜にも焼き物があったことを知りました。
横浜が開港するとまもなく、宮川香山が京都から招へいされました。
香山は、苦労して粘土を探し、市内に窯を築き、
主に海外向けの作品を作陶しました。
初代、二代と続いていきましたが、1945年の横浜大空襲によって
窯も破壊され、焼き物に関わる資料もすべて燃えて消失してしまい
幻の焼き物になってしまったという歴史をもっています。
作品の多くは、海外のコレクターの手に渡ってしまっていたので、
今もヨーロッパやアメリカに流出した作品を買戻しながら
作品を集めているそうです。
今回のコレクションは、高浮彫の中でも、
特に大きな作品を展示してるとのことです。
氷窟白熊花瓶 水辺二鶴細工花瓶
この二つは、ギャラリー初お目見えの作品だそうです。
白熊の花瓶の題材には驚かされました。
宮川香山の植物、鳥、小動物は、どれもよく観察し、
スケッチされたものをベースにしていることがよくわかる作品なのに、
突然違和感のある氷窟の白熊だったからです。
どうしてこの作品をつくろうとしたのか、聞いてみたいと思いました。
高浮彫の作品が好きか嫌いかは別にして、
鶴、ワタリガニ、鼠など、細かい観察に基づいているので
今にもそこから飛び出してきそうです。
崖二鷹大花瓶
この作品は、高浮彫の中でも特に力強いものの気がします。
花瓶かどうかわからないくらい大きな鷹で、よく見ると足の下に獲物の小鳥、崖に張り付く植物までも描かれています。
鷹ガ巣細工花瓶
これも崖の上に巣を作った鷹を作品にしたものですが、
こちらは、子育て中の鷹です。
親鳥が持ってくる餌を
大きな口を開けてもらおうとしているひなの姿が描かれています。
香山は、こういう作品ばかりを作っているわけではありません。
ガラスケースの中に
手の中に納まるような小さな作品もありました。
狸亭 狸水滴 仁清写鶏香合
狸の方は、硯に水を入れる時に使うもの。
鶏の香合は、お茶を点てる前に茶室の炉で炊く香を入れる入れ物だそうです。
仁清写というのは、仁清をなぞったものというものではなく、
京焼の仁清の作風のものという意味。
琅玕釉(ろうかんゆう)蟹付花瓶
たくさんの作品の中で、一番好きだったのは、
この小さな蟹が壺の口から中をのぞいているようなこの花瓶です。
ガラスケース、照明、鏡といろいろあって、自分の姿も写ってしまうような
環境ですので、上手にとれません。
本当は、もっともっといいのですが。
花瓶の中は、深い緑青色で水を思わせる色です。
蟹のこの淡いくすんだ肌色がオリーブ色の花瓶とよく溶け合って素敵です。
蟹が中をのぞいて立ち止まった一瞬を切り取った緊張感も漂います。
前回の時は、写真を撮ることは叶いませんでしたが、今回は、写真を撮っていいことになりました。(フラッシュと三脚使用不可)
このミュージアムは、土曜日と日曜日の10:00から16:000のみの開館です。
横浜駅東口ベイクオーターを通り抜けていくと10分ほど歩けば到着できます。
(*しばらくブログをお休みします。)