スリランカの旅 その9 (アヌラーダブラ)

 ランチを済ませて、午後訪ねたのは、「イスルムニヤ精舎」。

  「精舎」と聞けば、知っているのは平家物語の冒頭にある「祇園精舎」。

 ヴィハールというのはシンハリ語では寺という意味ですが、精舎と日本語に訳してい

るということは違いがあるのかと調べてみましたら、ここはもともとは僧侶が住むとこ

ろとして建てられていた建物で、その一部が残され、修復後寺院となったもので本

堂は、比較的新しいものなのだそうです。

 

 この建物は’「御堂」。たくさんの人が出入りしていたので、しばらく待

っていました。お参りが済んだ人が向かって右側に集まって大きな声を出し楽しそうに

しています。何だろうと人が少なくなったところで行ってみますと、

 岩のくぼみにコインが投げ入れられていました。我こそはと何人かが挑戦していまし

たが、 一人だけ成功した人がいました。外れたコインは下の池に落ちます。オレンジの

袈裟を身に着けたお坊さんたちも投げたのが入ると喜び、外れると残念そうにしていま

したから、こんな遊び心は万国共通だなと思いました。

 

 このお賽銭ボックス岩の上にはこの精舎ができた紀元前3世紀ごろのものだと思われ

る彫刻が施されています。「男性と馬」の浮彫です。

 同じ岩の下の方には、ゾウが彫られています。

 本堂には、「涅槃仏」がおられました。

 やはり足のことが気になりました。左右ずれていますので、この寝仏は、「涅槃仏」

に間違いありません。

 古いお寺の仏様なのに、色鮮やかなのは日本の浅草寺が資金を出して塗りなおしをし

たからだそうです。お参りが終わると、裏側に回ってこの大きな岩山の上に登り、アヌ

ラーダブラを眺めました。

 周りは、森林地帯でジャングルといった方がいいのかもしれませんが、目立った建物

は見当たりません。遠くに工事中の建物とその向こうに大きな白いダーガバ(仏塔)が

見えました。ガイドさんの話では、ミヒンタレーというところだそうです。

 
 今日一日ずっと裸足でしたので、足の裏に豆はできるし、軽いやけど状態で紅くなっ

てじんじんと痛みもあり塔に登るのも辛かったことを覚えています。

 

 最後に御堂の隣にあった宝物殿に入りました。 この寺の北側にあった王宮庭園で発

見されたものが展示されていました。

 印象的だったものを2つ紹介します。

 「恋人の像(The Lovers)」 紀元前2世紀にこの地を治めていたドゥッタガーマニー

という王様の息子であるサーリヤ王子とその恋人マーヤの像だと言われています。

 王子は、マーヤのカーストがあまりにも違いすぎるので周囲から反対されたのにも関

わらず、王位を捨ててこの女性と結婚したという話です。いつの時代にも情熱的な恋物

語があるものなんですね。王子の顔がとても嬉しそうに見えるのは気のせいでしょうか

ね。

 

 もう一つは、「王族の像(The Royal Family)」。真ん中は、その王様、右側がその

妻、王様の左側が王子であるサーリヤ王子、王様の妻の右側に小さく彫られているのが

王子の妻マーラだと言われています。マーラの像が小さいのは、身分の低さゆえではな

いかということです。

 作品自体は、5世紀から8世紀の頃のものだと言われています。

 

 (つづく)