この映画が始まってもう4週間たちました。
一週目は、整理券をもらわなくてはならないほど混んでいて
しばらく待っていたのですが、人気がある映画です。
見てそのわけがわかった気がします。
この映画は、イギリスのロンドンが舞台です。
ある地区の民生局に勤めるジョン・メイが主人公。
孤独のうちに死んでいった人の最後を見送るのがその仕事です。
ある日、上司に突然失職を宣告されます。
「死んだ人間は何も感じないんだ。」
という、上司の言葉がとげのようにひっかかります。
一つの案件にかかる時間がかかりすぎるというのがその理由。
自分が現在抱えている案件がこの仕事の最後になることを知ったジョンは、
今まで以上に念入りにこの仕事をやり遂げようとするのです。
原題、STILL LIFE の方が内容を的確に表しているような気がします。
今の日本も、できるだけ安く、できるだけ早くと、
効率をとことん求められます。
その中で、人間として もう少し優しく、
もう少し丁寧にと、考えることがあっても、
そんなことは必要がないという社会になってきているような気がします。
社会的弱者は、ますます生きずらい世の中です。
この映画が混むということは、
ジョンの心に寄り添いたいと思う人が
たくさんいるということだと思います。
人間的に生きるということはどういうことなのか、
人間として死ぬということはどういうことなのか
そんなことを考えさせる映画でした。
映画館に行く途中の若葉町の通りです。
久しぶりの青い空に、こぶしの花が
まぶしいほど白く咲いていました。
(*この映画は、20日までJack& Bettyで上映中)