先日、「渡りの足跡」(梨木香歩著)という本を読んでいたら、
ヒヨドリのことが出てきた。
梨木さんが3月の末、まだ雪が残る北海道にオジロワシやオオワシの渡りを
観察するために出かけた時の話に登場してきた。
ホテルの庭木にいた一羽のヒヨドリが
こちらをじっとうかがっていたそうである。
雪がまだ残っている北海道にもヒヨドリがいるのは驚きだが、
いつも見慣れたヒヨドリとは違い、
控えめで静かなたたずまいのヒヨドリだったそうである。
梨木さんは、それまでヒヨドリがあまり好きではなかったようだが、
この出会いで変わったそうである。
私も身の回りで始終鳴き騒ぐヒヨドリのことには無関心だった。
だが、この本を読んでから、
ヒヨドリは、短い距離だが渡りをするということがわかった。
ヒヨドリもたいへんな苦労を重ねてやってきたのだと思うと
俄然関心が出てくる。
そこで、一度写真を撮ってみようと思ったのだが、
鳥もよくしたもので、上手に木の葉で見えないところや、
高い梢に止まることが多く、こちらが思う通りにはいかない。
近頃ようやく、ベランダの前の桜の木もケヤキもすっかり裸になり、
いよいよチャンスが到来。
ちょうど、目の前の桜の木にとまったヒヨドリクラスの鳥。
曇っていたし夕方遅くなってからなので、色がよくわからない。
大きさは、ヒヨドリ位だが、体を立てて木にとまり
くちばしを木にこつこつとドラミングのような仕草。
キツツキに似ている。
コゲㇻは時々見るがもっと小さい。
もう少し木の下へ移動してくれないと色がわからない。
と、思っていたら、うまく下へ移動してくれて色が見えた。
頭に赤い印、背中は抹茶色。
サイドから見ると、顔の横にも赤いライン、そして
胸に白黒のまだら模様がしっかり入っている。
これだけそろえば、わかるはず。
結局この鳥は、「アオゲラ」。
(写真は、倍率をあげて固定してないので、ブレてしまってボケボケですみません。)
これが水曜日のできごと。
これは、昨日の夕方。
またチャンス到来。
今度こそ、ヒヨドリだろう。
胸に白黒の模様も入っている。
なんだか一生懸命毛づくろいなんかして、結構長い時間止まっている。
ちょっと、ヒヨドリにしては体が丸いかなと思ったが、ふくらスズメと同じで
ふくらヒヨドリってこともある。
ちょっと大きくしてみた。
顔が白くて、目のところは黒くラインが入っている。
ヒヨドリは、頭も灰色の毛がボサボサ立った感じで、
全体が灰色ぽくて、脇に茶色がこんなに見えないはず。
そこで図鑑を取り出して来たら、
これは、どうも「ツグミ」らしい。
越冬のため日本に渡ってくるのだそうだ。
長い距離の旅をしてはるかオホーツクからここへ辿り着いたのかと思うと
「本当にご苦労様!」
と、声をかけたくなる。
と、いうことでヒヨドリを撮ろうと思った副産物なのに、
めったに見ることができない鳥が2種類ベランダ前で撮れて、
我ながらびっくりしている。
いろんな鳥に出合えるのは素敵なことだ。