今年も桜の開花を今か今かと思いながら3月を迎えた。花見の宴にも縁がないのにこんなに待ち遠しく思うのはどうしてなのかと毎年不思議に思う。昔の冬はもっと寒かっただろうし、その冷たい冬に耐えて春を待ち望む気持ちは今の人よりも強いものがあっただろう。先祖からの遺伝子がなせる業なのかどうかはわからないが、脈々と続くその心の深いところにあるものが不思議でもあり、嬉しくもある。というわけで、毎日忙しく動き回っていながらも通りすがりのサクラを撮ったものをふりかえってみた。
一番初めは、3月11日
横浜国大の付属中学校の校門
「オオカンザクラ(大寒桜)」
早い桜なのでヒヨドリも嬉しくて飛び交い、思いがけない桜に携帯で写真を撮る人が群がった。
3月19日
大岡川観音橋付近
「ソメイヨシノ」
横浜の開花宣言は、22日だったので、だいぶつぼみは膨らんでいたが、開花には数日かかりそう。
3月22日
大岡川観音橋付近
都内からの帰り道で夜桜になってしまった。ソメイヨシノは開花といっていいくらいつぼみは開いていた。
さてその横に咲いていた桜は、次代のホープ「ジンダイアケボノ」。ソメイヨシノより数日早く咲くとの説明通り五分咲きくらい。色もソメイヨシノよりピンクが濃い。ソメイヨシノは、老齢化してんぐ病にかかりやすいので、もう苗木を生産していないとのこと。あと何年かかるかわからないが、大岡川も植え替えが進んでいるのでジンダイアケボノが花見の主役の座を得る日も近いような気がする。
3月27日
大岡川観音橋から
この週は、寒かったり暖かかったり、春の天気は移ろいやすく、なかなか花が咲きそろわない。
手前に咲いていた赤いさくらは、「ヨコハマヒザクラ」。「兼六園熊谷」というヤマザクラと寒緋桜を交配してできた品種。横浜在住の方が作った桜なので、ヨコハマという名が付いたとか。花の固まりが大きく豪華な感じが特徴だ。
3月30日
いよいよこの日から川の両岸に出店が並び桜祭りも佳境に入るというのに、この日は肌寒く桜も満開とは言えず、そぞろ歩く人の気分も何となく上がらない。
一人はしゃいでいたのは、カワウくん。歩いている人が食べ物を投げ入れたのではないかと想像するのだが、ふだんは、顔を出したかと思うとすぐに潜って巧みに魚を取るくせに、この日は顔を上げた切りきょろきょろと川岸に目を向けてはおねだりするような仕草が見えた。
この桜、通称「ドコンジョウザクラ」。堤の中に根を張って毎年花を咲かせる。行き交う人の話では、今年テレビで話題になったそうで、急に人気者になった。それにしてもすごい生命力。あやかりたくなる気持ちもわかるような気がする。
3月31日
神奈川県近代文学館 霧笛橋から。
この日もあいにくの曇り空。ソメイヨシノに花を添えるベイブリッジ。
因みに文学館では、「松本清張展」が開催されている。懇意にしている街の本屋さんからチケットを頂いたので行ってみた。
4月13日
大岡川観音橋付近
ハナイカダを期待していたのだが、まだイカダにはなり切れていない。散った桜もあれば、まだ枝先にいっぱい咲かせているのもある。昼間は気温が上がっても夜になると途端に冷える日が続いている。今週は気温が徐々に上がるというので大きなイカダができるのももう間もなくだろう。
川の中も緑の水草がびっしりと生えて春を迎えている。水草は鳥や魚を養い、鳥は海から上ってくる小魚を獲りにやってくる。ちょうどコサギとアオサギが小さな魚(たぶんボラの幼魚)をねらっていた。干潮で苦労せずに魚が獲れる。アオサギは、ちょうどこの時2匹くちばしに挟んだ。上手にのど元に運べるか心配したが、うまく取りこめたようだ。私も運よくこの光景を写真に撮り込むことができた。
私の振り返りでも約1か月。思わぬ桜の長持ちで商店街のお店もお客さんを呼ぶことができてまさにサクラさまさまの春となった。