晩秋の宮城5(気仙沼から一関)

 民宿2日目になってご主人との会話も弾むようになったと思ったら、翌日はもう帰ることとなりました。夕食の最後に「明日の朝、用事で気仙沼へ出るので、よかったら車で送りますよ。」と声をかけてくださいました。予定より少々早い気もしましたが、バスも1時間に1本ですので、ありがたく乗せてもらうことにしました。

 

 内湾(ないわん)地区は、気仙沼湾の一番奥で昔は、風待ちの港だったところです。橋ができる前には向かいの大島へのフェリーや観光船の発着の港だったところですが、橋が架かったのですっかり様相が変わりました。

 

 私は、2012年にここへ来ているので津波ですべて流され何にもない港を知っています。近くの空き地にできていたプレハブの屋台村で買ったふかひれマンを港のベンチで一人食べた思い出があります。おこぼれをもらおうとやってきたのはカモメでした。

 2013年にも気仙沼へやってきましたが、その時は気仙沼駅の一つ先の「唐桑鹿折」という駅まで行って、この内湾から大きな船が津波で打ち上げられたまま畑の真ん中に置き去りにされているのも見ました。津波の想像を絶する力を感じ取るには十分でした。

  3.11から十年経ったといいますが、ついこの前のことのような気がします。

 

 買い物があるからと、駅まで行かずにその港付近で下ろしてもらいました。北側の小高い山のようすが以前とは違うことに気付きました。右側の山の上ははげ山になっていて、白い塔のようなものが立っています。

 車を降りる時に、「今度来た時は、復興祈念公園にも足を運んでください。」と言われました。あれは震災の慰霊の塔だったようです。山の上に登れば、気仙沼湾のすべてが見渡せて、怖かったことも悲しかったこともすべてが映し出されるのだろうな思います。

 

 先日のニュースで、3月11日が公園開園日だったと聞きましたので、次回訪れた時には登ってみようと思います。

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 湾を挟んで反対側に赤い小さな浮見堂が見えます。行ったことがないので、ここからはネットの記事を読んでわかったことです。

 赤い浮見堂の途中に大きな恵比寿様が立っているそうです。ちょうど船で隠れていて見えませんが、その恵比寿様は、3代目なんだそうです。

 2代目の恵比寿様は、津波で流されて10年近く行方不明だったのです。長い間探したのにとうとう見つからないので、寄付を募って3代目を作ったのだそうですが、去年の秋、偶然浮見堂のおひざ元でその2代目が見つかったのだそうです。流されて遠くへ行ってしまったと思いこんでいたのでしょうね。(灯台下暗しという言葉を思い浮かべました。)

 2代目は、きれいにされてちょっと上の境内に建てられたので、今は、鯛を抱えた2代目の恵比寿さまとかつおを抱えた3代目の恵比寿様を見ることができるそうです。漁業の街らしい恵比寿様の立派なお姿を見るのも次回の楽しみです。

 

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 港には盛り土をして高くしたところに横に長いこじゃれた建物が2つ並んでいます。

 左側は、「創(ウマレル)」ラジオ局だとか、公共施設の入った建物で、右側がカフェとかレストランなどが入った商業施設「迎(ムカエル)」。19年から開業しているので、2年前気仙沼へ来たときには、ふかひれマンではなく、ムカエルのアンカーコーヒーでメカジキのカレーを食べコーヒーを頂いたことも思い出しました。 

 今は、この場所も「ピア」と英語読みの港になっていますが、まだ工事が続いていてすっきりと完成には至っていませんでした。

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 気仙沼を11時ごろ出て、大船渡線で一関へ向かいました。

 以前東北新幹線からの乗り換えの時に、駅構内にお餅料理のポスターが張ってあるのを見つけていました。お昼は一関でそのお餅を食べようと心に決めていましたが初めての下車でしたので、観光案内所を訪ねました。

 5分くらい歩いたところにそのお餅が食べられるところがあるというので勇んで参りました。「三彩館ふじせい」というお店です。

 写真は、「元祖ひと口もち膳」。(1500円税別)

納豆、くるみ、じゅうね、ずんだ、あんこ、ごま、えびに、しょうが、だいこんおろし、それにお椀の雑煮が付いています。それぞれの小鉢に小さなお餅が一つずつ入り、お雑煮には2つ入っているので、食べきれるか心配でしたが、結構ペロッと食べてしまいました。

 手間を考えると自分でこれだけの材料を用意するのはとっても大変なことです。こうしていろんな味が一時に楽しめるのは本当に嬉しいことです。

 しめは、やっぱり食べ物というのも私らしい!

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 これで「晩秋の宮城」は終わりです。続けて目を通してくださった方、ありがとうございました。

 (今日は、書きながら2012年、2013年、2018年、2019年など東北旅行のブログを読み返し、振り返りました。)