再び北海道浜中へ5 霧多布散策編

 今でこそ山の方では酪農も大きな産業になっているが、この霧多布は、霧多布港があ

るので昔から浜中の水産業の中心であるし、また、町役場、病院、文化センター、交

番、郵便局や銀行など主な公共機関があるので文字通り浜中町の中心となっている。

 

 岬から3キロ歩いて戻り、いつもはバスで通るだけだった町の様子を歩いて見てみよ

うと思い、坂道を下りて町の中心の通りへやってきた。

 

握り寿司

 毎日宿でおいしい生ものを食べているのに、今さら寿司でもないかなと思ったが、午

後2時前のウイークデーなので、やっていない店もあってここに決めた。

 

 握りというのは、やはりその握り方でうまさが決まる。きっちりと握られていて

寿司種も新鮮だしおいしくいただけた。白身の魚が何なのか聞いたところ宿でも食べた

オヒョウだとのこと。やっぱりここは、北海道だなと思った。一応上寿司なのでイクラ

もしっかりのっていた。

 

 お腹も満たされたので、町の中を歩いてみることにする。

 昨年も書いたが、この浜中町は、ルパン三世の作者「モンキーパンチ氏」の出身地

だ。この路地は、ルパン三世通り。この路地の両側にルパンに出てくる登場人物の名前

を冠した店が数件並ぶ。

 この店は、「PUB FUJIKO」。その隣に「JIGENNS BAR」というような感じで並ん 

でいる。お酒を飲む店なので、この時間は当然閉まっている。

 昼日中、こんなところに用がある人もいるはずもなく、閑散としているのならいい

が、なんだか心配である。

 

 町内バスの運転手さんから聞いた話。

 この運転手さんは、以前はこの町で喫茶店をやっていたそうだ。

 漁港も栄えていて、出船の時間待ちの漁師たちで喫茶店はずいぶん繁盛したのだと言

う。 漁師が主なお客だったので夜中までの長時間の仕事で、しかも一人で切り盛りし

ていたので体が続かなくてやめ、今はバスの運転手をやっているのだそうだ。

 出港前は、アルコールを飲むわけにもいかないので、長時間いられる喫茶店は都合が

よかったらしい。

 

 そんな話を耳にしていたので、ただでさえ、コロナ禍で観光客は来ないし、漁獲量が

減っている港町の飲食店が順調にやっていけているのかどうか心配になったのだ。

港と住宅街との間の防潮堤

 初めて町を実際歩いてみて、港と町の間にこんな開閉式の防

潮堤があることを知った。向こう側が町の中心部。

 2011年の東日本大震災時の2,6mの津波で霧多布も被害にあった。港の漁協の

施設には甚大な被害があったそうだが、住宅地との間に4,3mの堤防があったおかげ

で人的被害はなかったそうだ 。

 それでも、将来予想される千島海溝巨大地震に備え、今回は5.5mにかさ上げした

防潮堤が新設された。町の周囲3kmにわたりこの防潮堤が張り巡らされているそう

だ。

港の外側の防潮堤

 

 次に、「モンキーパンチ」氏の作品が展示してある「総合文化センタ」ーを訪ねた。 

浜中総合文化センター

右の階段を上った2階の会場が展示室

ここには彼の仕事場を再現した部屋、原画のコピー、彼が使った道具などが展示してある。

出口で写真を撮ってもいいのかと聞いたらどうぞとのこと、
そこで撮ったのが仕事場の机とルパンの立体像。

 私は、ルパン三世の漫画のファンではないが、漫画本やテレビのアニメを見ると

はなしに見ていたので、とても懐かしい気がした。一世を風靡した漫画なので、キャラ

クターについてはよく知られているのではないだろうか。

 モンキーパンチ氏は、出身地の浜中をとても愛していたようで、町おこしのために看

板を作ったり、ワークショップを開いたりしていたそうだ。2019年に亡くなられ

た。

町役場のトイレ

町役場の車

 

 この日の宿での夕食

花咲ガニ

 

 これは、鳥の保護活動をしておられる知り合いの方のお土産だったのだが、去年に続

いてこの時期に花咲ガニを食べられることとなった。

 宿主がいうことにゃ、小さめのカニがおいしいのだということ、そしてお腹が丸い形

のメスを選ぶのが正解だそうだ。脚を手でちぎり、中の汁をこぼさないように口元にも

ってきて吸うように食べるのがおいしく食べるコツだとのこと。

 この花咲ガニは、脚の数が2本少ない。なんとヤドカリの仲間だそうだ。(退化した

短かいのが一番前についていた。)

 

 

アンコウ汁

 おいしいものは、見栄えがいいものとは限らない。アンコウの肝が溶けた味噌汁は、

コクがあってカニよりもずっとおいしかった。

 そのほかにも、刺身や、クジラと玉ねぎの和え物、ホッキとキムチの和え物、白身魚

きゅうりの和え物とおいしいものがどっさりでカニは半分しか食べられなかった。

 

 (つづく)