毎日人に会えば、口をついて出てくる言葉は「暑いですねえ。」。
横浜は、なかなか雨も降らないし、暑さに一休みがない。
7月ごろからうちにいても暑くて体を動かす気力もわかず、
映画館へ飛び込む快感に取りつかれて、週に1回は映画館へ足を運んでいる。
先週の金曜日も映画館へ足を運んだ。
この日は、「丸木位里・俊 沖縄の図」を観たのだが、
終わって外へ出ると、次の映画を待っている人がたくさんいるので驚いた。
その映画は、「ハマのドン」。
2年前の横浜市長選挙、横浜の山下ふ頭にカジノを含めたIRリゾートを作るという国
策に対して市長選挙に立候補したのは8人。当時の市長だった林文子氏は、市民からの
反対運動に対し白紙だと言い続けていたのだが、推進派として立候補。自民党の国家公
安委員長だった小此木八郎氏は、カジノ反対として立候補。結局、推進派は2人、6人
はカジノに反対の立場で立候補した。立憲民主党が推薦した「山中竹春氏(元横浜市大
教授)」がカジノに反対する会の候補として立候補することになった。
「ハマのドン」と呼ばれている藤木幸雄氏は、この映画を撮ったとき、91才。今年
93才だと思いますが、沖仲士と呼ばれていたころからの港湾労働者の歩んできた生活
の苦労を知っているからこそ、横浜山下埠頭を賭博で汚されたくないという思いが強か
った。
( 映画の中に、供養塔を訪れる場面があったのを見て確かゾウの鼻パークの隅にあったなと思って撮ってきた写真。)
藤木氏は、横浜FMラジオ、横浜球場など数えきれないほどの会社を持っている横
浜を代表する実業家であり、自民党の古くからの党員でもあるので、政界に太いパイプ
もある。当時の首相だった菅氏は、横浜の市議会議員から出発した政治家であるので当
然知己の仲だということもこの映画で知った。
住民投票条例制定に向けた署名が必要数の約3倍(19万票)も集まったにも関わら
ず、市議会では自民、公明の反対で否決された。コロナ禍で混とんとしていた状況の
中、カジノだけは自分一人でも阻止するという藤木幸雄氏とカジノに反対する市民運動
が結びつき、開けてみれば開票と同時に「山中竹春氏」が当確。
この選挙は、いつもよりも11ポイントも投票率が高かったそうだ。
この映画の中で保守の重鎮である藤木氏が
「主権は官邸にあらず、主権在民」
と語った言葉の力強さに、こういう人が自民党にもいるんだとびっくり!
なかなか結果が出ない市民運動が久々に結果を出せた選挙に有権者の一人として心の
もやもやを吹き飛ばしてくれる痛快さを味わえた。
この映画は、5月から横浜の二つの名画座で始まり、シネマジャックアンドベティで
は、8月の11日まで上映され、片やシネマリンでは、一度終了したが、この8月14
日から25日までアンコール上映されるというのだから驚きだ。
ドキュメンタリー映画、それも政治がらみの映画がこれほどロングランされるという
のは、横浜の名画座でもとても珍しい出来事だ。
映画監督は、テレビ朝日の「報道ステーション」のプロデューサーを務めた松原文枝
氏。映画とともに全国を精力的に回っているようだ。