「三浦半島EM研究会」の畑へ

 10日の日にパルシステム神奈川のイベントが開催されました。

 お子さん連れのイベントが多い中で、今回はウイークデーということもあり大人対象

だったので申し込んだら、抽選に当たって参加できることになりました。

 

 この日は、前日から南岸低気圧の通過に伴い雨または雪という予報が出ていたので

おそらく中止になるだろうと思っていたところ、前日のメールで実施されるとの連絡が

入りました。

 

 場所は、京浜急行線の終点三崎口駅に近い三浦半島

 うちを出る時にはパラパラと白いものが降り始めましたが、すぐに雨に変わったので

小雨が降る中マイクロバスに乗り、近くの「EM研究会」の生産者さんの畑まで移動し

ました。

 

 この辺りは台地のようになっていて、今は一面キャベツと大根の畑が広がっていま

す。

 

 まずは、キャベツ畑。冬キャベツと春キャベツのちょうど間の品種です。ここで包丁

を渡され、外側の大きな葉を倒し、巻きが入ったものの外側2枚くらいを付け、芯のと

ころに刃を立てるようにして取ります。

 不器用な私でも、手を切ることなくキャベツを収穫できました。

 雨降りなので、自分用のキャベツを一つだけ収穫して終わりでした。

 またバスに乗り、大根畑まで移動。

 三浦なので、三浦大根かなとひそかに期待していましたが、青首大根でした。

 首が持ち上がっているので、やはり太めのを選んで抜きました。曲がっていると曲が

った方向を見据えて引っ張り上げないといけないと言われましたが、私が選んだのは、

まっすぐに伸びあがっていたので、両手で葉の根元を持ちそのままグイっと力を入れた

ら、スポッと抜けました。

 子どもなら大喜びする瞬間でしょうが、大人の私でも快感でした。

 好天だったら、この大根抜きのお手伝いをすることになっていたのですが、この日は

残念ながら自分用のを1本抜いておしまいでした。

 

 この後、「潮風アリーナ(体育館)」の会議室で生産者さんから「EM研究会」の栽

培方法などをお聞きしました。天候が悪くても生産者さんが、交流を楽しみにしていら

したので実施することになったのだそうで、その熱心さが伝わってきました。

 

 この会は、農薬や化学肥料を極力使用しない生産に取り組んでいる生産者グループで

す。おいしく健康に良い野菜は土づくりからということで、EM(有用微生物群)と米

ぬかなどの有機物を活用して環境保全型・資源循環型農業に取り組んでいるのだそうで

す。

 初めから順調ではなく、栽培方法を変えるにはかなりの忍耐が必要だったと語ってい

らっしゃいました。味は変わらないのだけれど、大根の白い肌に黒いシミが付くと農協

には出荷できないのだそうで、そこで薬を使うこともあるし、

大きく成長し過ぎるとそれはそれで消費者に嫌われるので、出荷できなくて廃棄になる

ことも出てくるのだそうです。

 

 その話をしているときの生産者さんたちの苦渋が察せられて、何とか手塩にかけて育

てたものが有効利用される方法がないかと考えさせられました。一つは、大手のレスト

ランなどで規格外のものを使う試みもされているようですが、自分たちが利用するだけ

でなく社会として活用する方法を真剣に考えていきたいものだと思いました。

 

 手指も足指も冷たくて大変でしたが、お土産の野菜の収穫もさることながら、生産者

と直接会って話を聞けたことが何よりの収穫でした。

 電車の車窓から見えた河津桜のつぼみがちらほら膨らみ始めていました。

 

チョコレートな人々

 

 土曜日に「チョコレートな人々」という

 東海テレビが制作したドキュメンタリー映画を観てきた。 

 

 東海テレビというと、2017年に上映された「人生フルーツ」という映画がすぐに

浮かび上がる。長期の取材を通したほのぼのとしたご夫婦の素敵な物語で、初めの予想

よりずいぶんと長く上映された記憶がある。

 

 今回の映画も東海テレビが2021年の民間放送連盟賞テレビ部門のグランプリを受

賞した作品を映画化したもので、観る前から期待が膨らんだ。

 

 チョコレートを製造販売している生産者の話だ。起ち上げたのは、夏目浩次さん。

 愛知県の豊橋市の街の中で、小さなパン屋から始めたそうである。紆余曲折を

経て今では、全国に52の拠点を持つチョコレートブランドになり、有名なデパートの

イベントの常連にもなっているとのこと。

 

 夏目さんたちスタッフは、身体や心に障害を持つ人、シングルペアレント不登校

験者、セクシャルマイノリティなど。多様な人が働きやすく、しかもちゃんと稼げる職

場を目指してやってきている。

 

 夏目さんが、ショコラティエの野口和男さんと出会ったのが転機だったそうだ。

「チョコレートは、失敗しても温めれば作り直すことができる。」

しかもチョコレートは、アイデア次第で付加価値が高まる魔法の食材。

 野口さんとの出会いが今の「QUON」チョコレートを導き出した

 

 多様な人をどうやって受け入れてきたかをじっくりと見て、近くの「QUON」チョコ

レート店へ出かけてみてほしい。

 

 横浜にも2店舗あり、先日京急線の「富岡」駅の近くの「QUON」へ行ってきた。

 小さなお店にカラフルなチョコレートが所狭しと並んでいる。宝石のようなドライフ

ルーツや木の実がちりばめられたチョコ。

 

 寒い日だったので、「ショコラショー」(熱いチョコレートドリンク)を飲ませても

らって一息ついた。この日は、72パーセントのドミニカ製のチョコを使ったドリンク

で、あまり甘くなくておいしかった。

 

 映画を観てきたというと、店のスタッフさんがここはフランチャイズになっているの

で、近くにある障碍者の施設が運営しているのだと話されていた。

 

 ちょうど、私のすぐ後にいらしたご婦人も映画を観てきたと言ってらしたので、

お店のことを知ってもらうためにはこの映画は役に立っている。

 まもなくバレンタインデー。普段は、チョコをあまり食べないのだが、

今回は応援のつもりで購入させてもらった。

東京ジャーミイ見学

 先週土曜日、渋谷区の代々木上原から5分くらいのところにある「東京ジャーミイ

へ出かけました。

 コロナ禍になる前に、「東京ジャーミイ」のことをテレビで見て、一緒に行かないか

と友人に誘われていたけれども、機会を逸していました。コロナもほぼ収まっている

し、懸案になっていた「東京ジャーミイ」へ今度は私から誘ってみました。

 

 代々木上原は、私の祖父母がこの辺りに住んでいたので、亡くなってしまった今でも

何となく懐かしい場所の一つなんです。渋谷で待ち合わせてランチを食べてから向かい

ました。

 

 見学はいつでも原則可能なんですが、初めての場合は、土曜、日曜、祝日の午後2時

半から日本語ガイドによる案内があるというのでそれに合わせて午後2時過ぎに行きま

した。

 

 この日は、見学者も多くて、おそらく50人近くいたと思います。1階の玄関を入っ

たところで、時間までお茶やナツメヤシのドライのお菓子をいただきながら待っていま

した。礼拝堂に入るときには、スカーフ等で髪を隠して入ります。

 

 トルコ人のたいへん日本語が上手なガイドさんの話が30分くらいありました。

 まず、初めはチューリップの花の話から始まりました。

 チューリップは、地中海沿岸が原産地でトルコの花瓶やツボにもたくさん描かれてい

る花であることを紹介してくれました。チューリップはやがてオランダへ渡り、人間の

手で改良を重ね、本来は丈も短く花もシンプルでかわいいものが、現在私たちが目にす

るような大きくカラフルな花に変わっていったのだそうです。

 ヨーロッパでは チューリップは大変人気があり投機の対象としてえらく高く売買さ

れたようです。

 

 イスラムでは、キリスト教や仏教のような偶像を崇拝することはないので、このチュ

ーリップやカーネーション、バラが描かれていることが見受けられます。

 

 そのほかにも、イスラム圏の文化について数々語られましたが、記憶に残っているの

は、今使われている数字についてです。角が一つのものが1,二つのものが2,三つの

ものが3となっていると説明させてなるほどと知りました。

 

 

 1枚目の写真は、2階にある礼拝堂です。入るとドームの美しい様子が目の前に広が

ります。ちょうど午後3時の礼拝が始まったところで、信者の人はイマーム(指導者)

の祈りを聞きながら祈りをささげているのを後ろに座って見ていました。

 

 小さい子どもは親と一緒に入って座っているのですが、そのうち飽きてくるのかちょ

ろちょろ走り回ったりしますが、大人は子どもに無理強いをしないのだそうで、叱られ

たり怒られたりするようなことはありません。

 

 絨毯には、横線が模様として入っているので、その線に従って横一列に並んで座るよ

うになっています。身分の高い人も低い人も、金持ちも貧乏人も神の前では平等なので

たとえ大統領が来ても、順番に座っていくと聞いたのが新鮮でした。

 

 2階は、女性だけの場所となっています。どうして男女が分かれて座るのかと質問し

ている人がいましたが、漏れ聞いたところでは、気が散るからだと答えているのが聞こ

えました。

 礼拝堂の入口辺りから見たミナレットです。塔の上の金色のところには三日月が輝い

ています。

 

 この礼拝堂は、元々ロシアに住んでいたカザン州のトルコ人が、ロシア革命後迫害を

受け、生命の危機を逃れるために中央アジアを経由し満州へ移動、さらに韓国、日本へ

と安住の地を求めてやってきた人たちが前身のモスクを1938年に作ったそうです。

 老朽化したので、1998年から2年かけて2000年に完成。大きな骨組みは、日本の建設

会社が受け持ったようですが、内装や細かい細工それにステンドグラスなどは、本国ト

ルコから100人もの職人が日本へ来て作ったそうです。

 

 今から30年くらい前に私はツアーの旅行でしたが、トルコへ足を踏み入れたことがあ

ります。イスタンブールのブルーモスクとアヤソフィアを見学しているので、モスクの

壮大さも知っているので、ここのは小さいなと思いましたが、こんなに詳しくイスラム

のことについて話を聞いたことがなかったので、この日はとても充実した気持ちになり

ました。

 

 

中華街春節2023

またまたのご無沙汰です。

1月の2週目にパソコンを開いて記事を読んでいたら

また「トロイの木馬」と名乗る画面の邪魔者が入って来て

しばらく開けられないでいました。

先週あたりから画面は消えましたが、

出かける用も多くて夜は疲れてパソコンを開く気力がわきませんでした。

 

 昨日は、用事もあって街へ出たついでに中華街に寄りました。

21日が大晦日、昨日22日から今年の春節です。

ここ2年間中華街もコロナ禍で人が大勢集まるイベントごとを控えていたので

昨日は、3年ぶりの賑わいでした。

 

 メインの通りを見ると人が多くてちょうど獅子が各店を回ってご祝儀をもらう時間帯

だったので、お客さんが車道を埋め尽くしていて通りを歩くこともままならないくらい

でした。

 昨年の10月 韓国ソウル梨泰院(イテウォン)での事件のことが頭をよぎり

怖いなと思いました。

 

 獅子は、五頭いるので混んでないところを探せばいいのでしょうが、

どの通りかよくわかりません。

 左に曲がったところにも獅子がいてここもすごい人です。

 車道にも人があふれています。そこを通る車もいるので、交通整理をする係の人も

さぞひやひやものだったに違いありません。

 

 

 私は新年初めてなのでとりあえず「媽祖廟」(まそびょう)にお参りしてお線香を立

ててこようと思って獅子を追い越して「媽祖廟」へ入りました。

 ところが、そこへ黄色の獅子が後を追って、「媽祖廟」へ入ってきたのです。

 通りを歩いているときは、人が多くて音はすれども獅子はいずこという感じで

写真を撮ることも叶いませんでしたが、撮れるかもしれないとちょっと嬉しくなりまし

た。

 

 残念ながら横顔です。

 赤いじゅうたんの先に神輿があります。そこをくぐると厄が落ちるとされています。

 獅子も厄落としの神輿くぐりに進みました。

 厄を落として顔を出してポーズです。

 ということで、写真も中途半端なものしか撮れませんでしたが、

今年の春節風景です。

 

みなとみらいのクリスマスツリー

   ご無沙汰しています。

 今日は、12月25日クリスマスです。

 だからと言って何があるわけでもないのですが、今日でクリスマスツリーも最後かも

しれないので写真を上げることにしました。

 

 ランドマークタワーのこのツリーは、ハリーポッターがテーマでスニッチという球を

空中を飛び回りながら捕まえるゲームをしているところです。

 夕方になると1時間ごとに動きのあるイルミネーションになるようですが、

その時間にいられなかったのでどうなるのかがわからず残念です。

 

 

 これは、その先のクィーンズスクエアの「カナデルクリスマス」というツリーです。

 やはり夕方になると1時間ごとに音楽と光のショーが始まります。こちらはちょうど

その時に通りかかったので、音楽とともに変化するイルミネーションが見られました。

 

ツリーとは関係がないのですが、ご報告 

 

 12月の始め、パソコンにトロイの木馬に感染したという画像と音が入ってしま

いました。

 いつまでも大音量は止まないし、画像も消えないので、とりあえず強制終了させて

パソコンを切りました。

 相談相手の息子にラインで連絡を取り、しばらく放っておくことにしました。

 

 ボランティアで働いているところで先週その話をしたら、やはりパソコンに

同じようなことがあったという話を聞き、周りでもそんなことが起きているのなら

おそらくサギに違いないと一安心をしていましたが、またパソコンを開いたら同じよう

なことが起きるといやなので、息子の仕事がひと段落付いた昨日カメラを通して見ても

らいながら起動させてみました。

 結局開いて点検したところ、特に何も起きていなくて、無事でした。

 マイクロソフトを装って電話番号のところへ誘導させてお金を振り込ませるサギだっ

たのだと思います。

 

 ということで、またぼちぼちやっていきます。

晩秋の鎌倉ー一条恵観山荘

 朝から曇ったうすら寒い日でしたが、これから先予定が取れそうもないので以前から

一度訪ねようと思っていた「一条恵観(いちじょうえかん)山荘」へ行ってきました。

 

 今日の鎌倉は、改札口に人だかりができているという状態ではなくてほっとしまし

た。それでも、紅葉の時期ですからそこそこの人はいますが。

 

 ここのところ朝の食事を抜いているので、まず腹ごしらえ。

 数年ぶりで小町通の「なると屋典座」へ行ってみました。

 11時半から開店でしたので、お店の前で10分ほど待ちました。

 数年前までは、鎌倉へ来るとこちらへよく来ていました。肉や魚ではなく、野菜を食

材にした料理が並ぶのが私の好みに合っていたからです。

 

 今日は、12月1日で12月の定食一日目のメニューです。

 左奥から ★梅干しと大根の漬物 

      ★根菜のあんかけ(ゆでた大根とカブの上に味の付いたシイタケ                    

       ゆでたニンジンと菜っ葉、それにゆずをのせ、餡をかけたもの)

      ★春菊としめじのかき揚

      ★ごぼうご飯

      ★干し柿の天ぷらに赤だしの味噌汁 

      ★ごま豆腐 

 

 どれも薄味。例えば、ご飯の上のごぼうも味つけはなし、かき揚げは塩が少しふりか

けられているだけ、大根、かぶ、小松菜、にんじんにも味付けはなしです。野菜の旨味

を味わうようにということでしょう。その代わり、ごま豆腐にはすりおろしたわさび、

干し柿の赤だし味噌汁には練りがらしが載せてあり、ほのかな香りづけが何とも言えま

せん。

 定食は、1760円。

 

 オーナーのヨウスケさんの健在な姿も見られて懐かしい気持ちになりました。

 以前、ここで開かれた料理教室に参加したことがあるせいでしょうか。

 

 歩いても30分の距離ですが、寒かったので駅前からバスに乗り、浄明寺で下車。

 進行方向に2分ほど歩くと右手に「一条恵観山荘」があります。

 

 入口の左手の手水鉢にはキクがいっぱいです。

 この一条恵観山荘は、私が神奈川に越してから嬉しくて始終鎌倉へ来ていたころには

なかったような気がします。

 江戸初期の公卿・後陽成天皇の第九皇子であった一条恵観公の別荘として京都西賀茂

の広大な敷地に建てられていたものだそうです。

 いつだれが鎌倉へ移築したのかはわかりませんが、枯山水や飛び石とともに移され、

国指定重要文化財となっています。

 

 各シーズン指定された日のみ建造物内の案内がありますが、もうすでにいっぱいでし

た。これは、その一つ茶所「時雨」の丸窓。

 

 モミジの落ち葉が水に浮き、そろそろと流れていきます。

 モミジのモザイク模様。

 庭の右側には、滑川が流れていて川の向こうは山になっているので、天気が良い朝に

はいろんな小鳥のさえずりも聞こえてくるそんな設えの庭です。

 

 ホトトギスの花が秋の最後を彩っています。

 今年はもうすでに椿があちこちで見られますが、ここでは白の侘助が冬?の到来を知らせていました。

 今は、お寺や神社に花を浮かべた手水鉢がネットにもたくさん上がっていますが、

あまりにも時流に乗りすぎていてどうかなと思っています。玄関のは絢爛豪華ですが、

これくらいの控えめな手水鉢ならいいのになと思います。

 

 京都の敷地は広かったようですが、ここはこじんまりと納められていて、私の想像が

拡がりすぎていたせいか、正直なところちょっとがっかりでした。

 

 帰りは、バスに乗らず歩いて行ったので、途中右手にあった杉本寺のモミジも

 左手の滑川沿いのモミジも見ることができました。

 今年の神奈川県は台風の直撃がなかったせいか、鎌倉もことのほか紅葉、特にモミジ

の紅葉は素晴らしいです。

 

川端康成展ー虹をつむぐ人

 11月は予定があまりなかったはずなのに、結構忙しい。

 17日に映画を1本見た後に神奈川文学館へ回った。日本大通りの両側の街路樹のイチ

ョウもすっかり色づき秋の深まりを感じた。

 

 

 途中中華街で久しぶりに山東の水餃子を食べた。

 餃子の皮がもっちりとしているので、10個食べればお腹がいっぱいになる。たれが独

特でココナッツだれが癖になる。時々思い出したように食べたくなるのだ。これも以前

は770円だったと思ったが、今回は880円でここも値上げかとがっかりした。

 お腹もいっぱいになったところで、元町通りに出て、外国人墓地の脇道を上り、港の

見える丘公園に入った。

 港の見える丘公園を抜けた奥に神奈川近代文学館がある。今開かれているのは、川端

康成展。没後50年にあたるので特別展示である。

 私は、文学少女だったわけでもなく、今も文学よりは社会のあれこれを書いた本を読

むことの方が多いので、ここへ足を運ぶのはまれである。今回は、懇意にしている近く

の本屋さんから招待券を特別に頂いたので無駄にしてはいけないと思ってやってきた。

 

 川端康成の作品は、「伊豆の踊子」と「雪国」くらいしか読んだことがない。ノーベ

文学賞をもらったことは知っているが、だからと言って何かを読んだわけでもない。

 

 展示を見ていると、生い立ちの紹介がある。彼も子どもの頃は不遇で、両親が

幼いころに亡くなった後、祖父母に引き取られたが、13歳の頃その祖父も亡くなったと

のことである。

 

 若いころ、女性を見るとじっと凝視する癖があったというのもどこか生い立ちが関係

しているのかもしれない。

 

 虹をつむぐ人 という副題がついているわけがわかった。読んでなくて語れないがい

ろんなモチーフの小説が書かれているということらしい。絵、陶芸、書などいろんな方

面に精通していたということもあるのだろう。多彩な色を持つ小説家だということらし

い。(荻野アンナさんの解説による)

 

 私が川端康成を身近に感じたのは、覚園寺の薬師堂にある「鞘阿弥陀」を通してであ

る。

 薬師堂の真ん中に座っているお薬師さんでも脇に並ぶ日光、月光菩薩でもなく、周り

を取り囲む十二神将でもなく、向かって右側にそっとおいでになる通称「鞘阿弥陀」。

(胎内に仏像が納められているので、「鞘阿弥陀」と呼ばれている。)

 

 彼が晩年鎌倉に住んでいたので始終覚園寺を訪ねることができたと言えばそれまでだ

が、川端康成は、とりわけこの「鞘阿弥陀」を大切に思っていたらしい。

 この「鞘阿弥陀」は、とても優しいお顔をしている。女性的な柔和なお顔の仏様なの

で、今回の女性を凝視するということと関係があるのかもしれないなと想像した。

 仏像の良し悪しはわからないが、私も好きな仏様のおひとりである。

 

 この阿弥陀様は、近くにあった「理智光寺」の本尊であったのに、廃寺となったため

覚園寺に移され今も薬師堂でほかの仏様と一緒の時を過ごしている。

 

 

 この展示のイベントで12日に朗読会があった。竹下景子さんの朗読だというので、申

し込んだがもうすでにいっぱいでキャンセル待ちだと言われていたのだが、2日前にな

って、電話が入り参加できることになった。

 

 「掌の小説」という本当に短い短編が集められた小説集の中から10篇ほどが取り上げ

られていた。読んだこともないけれど、とりあえず彼女の朗読の声を実際に聴くことが

できて幸せな時間だった。この小説集は、小説家が若いころ、よく詩を書いたりする代

わりではなかったかと説明されていた。

 時間が許せば、一度その短編も読んでみたいと思う。

 夕暮れが迫って来て薄暗くなってきたが、つわぶきの黄色が鮮やかだった。