雪の藤七温泉 

 昨年秋、青森の酸ヶ湯温泉へ行った折、青森へ出るバスの隣に居合わせた方に「藤七温泉は、お湯がいいよ。」という話を聞いたのがずっと耳の奥に残っていた。

 結論から言うともっと早くから予約を取ればよかったのに、なんだかぐずぐずしていて予約が取れたのは10月の20日になってしまった。

 はじめは一人で行くことにしていたのだが、一昨年秋田の森吉山へ一緒に行った人から連れて行って!とラブコールを送られていたのを思い出し、声をかけたら行くというので、計画の途中から2人で出かけることになった。

 

 藤七(とうしち)温泉というのは、八幡平国立公園内にある温泉で標高1400mと東北の温泉では最も高いところに位置している。電話は衛星電話。携帯電話は入るところと入らないところがあるらしい。

 

 八幡平は、秋田の玉川温泉を経由するのや、秋田の鹿角から入るのやらいろいろルートがあるのだが、盛岡から安比温泉やら八幡平温泉などを経由する無料のシャトルバス便があるというので盛岡から入ることにした。

 

 東京駅8時半出発。この日は、前回の軽井沢同様どうも天気がはっきりしない。東北新幹線に乗っていても奥羽山脈の方には灰色の雲がかかっている。日本海側の天気が悪いらしい。時折雲がかかってはまたうっすらと陽の光が差す。友人が虹を見つけた。アーチを描いた虹や縦に棒のようにかかったのや二重の虹など、合計5本ほど。冴えない天気だったが、友人の虹探しでこちらの気持ちも和んだ。

 

 田沢湖線を使う時も盛岡が基点になるので、これまでも何回か行っているが、盛岡へ行くのなら、初めて行った時に食べた街中の蕎麦屋へ行きたいと思って強引に友人を説き伏せ「やまや」という蕎麦屋へ行った。盛岡名物のわんこそばではなく普通の盛りそばだ。

 やまやの韃靼そばと挽ぐるみそば

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 下が韃靼そば、上が挽きぐるみそば。1枚が安いので、2枚で800円。韃靼そばは幾分苦味があるとの説明書きがあったが、ほんの少し感じるのみだった。

キスと甘唐辛子の天ぷらf:id:yporcini:20211020121139j:plain

 前回は、秋のはじまりだったので、季節の天ぷらはアナゴとにがうりだったが、今回はキスと甘唐辛子。もう少し後だと牡蠣だったのに、ちょっと残念。季節季節で変わるこの天ぷらと三たての安いそばが魅力の蕎麦屋さんだ。友人は、大人なので一枚、よせばいいのに朝抜きで来た私は二枚も食べてお腹がパンパンだ。

 

 シャトル便は、西口から午後2時出発。予約制なので乗れることはわかっていたが、座席は満席。

 寝不足の私は、窓からの景色も見ないでよく眠っていたが、麓の公園で宿のマイクロバスに乗り換えるところで目を覚ました。ここからアスピーテラインという道路に入っていくのだが、高度を上げていくと白樺やブナの黄色くなった葉も落葉して骨のような枝が目立つようになる。この日は、頂上近くになると雨風が強く、宿に着いた時は、そそくさと走って玄関へ入った。

 

 山の斜面にある野天や内風呂の外にある露天も雨風が強いので無理だといわれ、この日は、内風呂へ。お風呂へ行く渡り廊下が吹きっ晒しなので、荒天の日はいずれにしてもたいへんだ。

 

2泊目の夕食

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 ということで、この日は、夕食の前にも寝る前にも温泉に入った。夕食は、手をアルコール消毒した上で一人一人、お盆に食器がセットされたものを持ち、自分専用のトングでおかずを取っていくブッフェ形式だ。マスの刺身、食用菊、ジュンサイ、ナメコの下ろし和え、イワナの焼き物、マイタケやリンゴの天ぷら、稲庭うどん、ひっつみなど地域の名物の物もあれば、トマトのレモンマリネなどというちょっとおしゃれなおかずもある。水道などは通っていないが、素晴らしい湧水が引いてあっていつでも飲める。

(次回に続く)