この日久慈は、ちょうど三日間の秋祭りの初日でした。
駅のお店の人に聞くと、午後4時から6時ごろまで、山車や神輿が通りを練り歩く「お通り」というのがあるとのことでした。
その時間まではいられないので、出発する場所まで歩いて、せめてどんな山車か見てみようというので歩き始めました。
途中までくると、そのスタート地点へ移動する山車に出会いました。
め組の山車
このお祭りは、600年の歴史があるそうです。
各町の組から8台の山車とお神輿が繰り出します。
どれも大規模な山車で、山車には大太鼓の叩き手と小太鼓をたたく少女が5人くらい乗り、この前にマイクを持った歌い手が二人、更にその前に中学生くらいの男女の横笛の吹き手がざっと十数人、山車の綱を引くのは小学生の子どもたちです。
逆光の中でまぶしそうです。
夕方になれば薄暮の中、灯りが燈り、一層輝きを増すのだろうと残念な気持ちでした。
この日、「あまちゃん」に出演した能年玲奈さんと宮本信子さんが4時からのパレードに人力車に乗ってパレードしたのだと、後で知りました。
駅へ戻る途中、レトロうまいもん横町で、昼を食べていなかったので、次から次へと食べました。
* まめぶ汁 (黒糖とくるみを小麦粉でくるんだ団子、きのこ、にんじん、だいこんなどの野菜 を しょう油ベースの出汁に入れたもの)
この辺りの郷土料理で、お祝い事では必ず食べるそうです。「甘さとしょっぱさが緊急会議」というキャッチが書いてありましたが、まさにぴったりでした。B級グルメに出品しているそうです。
*うに飯 (ウニ風味の炊き込みご飯に蒸しウニと青じそが散らしてある。)
このウニ飯は、洋野町種市「浜やさん」のものです。炊き込みご飯の味付けが絶妙で、もっとウニがのっていればいうことなしのお味でした。
*短角牛の串焼き
この辺りの名物牛で、赤身の多い味の濃い牛を塩・コショウで味付けをした一口サイズのお肉が4切れ串に刺さっていました。刺しの入ったような脂肪が多い肉は苦手なので美味しく食べました。
*豆腐の味噌田楽
正確に言うと、レトロ横丁では売切れていて、駅前で食べたのですが、固めの豆腐をタテに長く半分の厚さに切ったものに、ニンニクの入った味噌を塗り、炭火で焼いたものです。
ニンニクは青森の名産品です。焼きあがってくると香りが漂ってきます。これもいけます。
しめて1050円。B級グルメに近いものばかりですが、美味しかった!
久慈からは、JRの4時50分発の八戸線に乗り、今日の終着点の「本八戸」には、6時37分に着きました。
新幹線の「八戸」駅ができる前からの八戸市の中心地です。
駅前は、玄関口とは思えないほど寂れた感がぬぐえませんが、市役所まで来ると道も広くなり、ビルが並び、たくさんの商店が通りの両側に続きます。
ホテルでチェックインしてから、B級グルメグランプリに輝いたという「せんべい汁」を食べようと、ホテルのすぐ裏の「みろく横丁」へいきました。この辺りには、八戸の海の幸、山の幸を食べさせてくれる飲み屋さんが集まった横丁が8つもあります。八戸は、横丁と市場の文化の街だと言われています。
「みろく横丁」は、三日町と六日町をつないだ通りなので、「みろく」という名前になった比較的新しい通りだそうです。
この横丁の「わらじ」というお店に入り、せんべい汁を注文しました。
せんべい汁は、鶏で出汁をとるものと、魚でとるものがあるそうです。
このお店では、サバでとったものに、せんべい、野菜、きのこのほかにサバの身も入ったしょうゆ味のお汁でした。せんべいはアルデンテがよいそうで、はじめ口に入れたときは、ちょっと固め、だんだんやわらかくなります。出汁が効いていました。
ここで、先客の男性が学生の時に、東京で暮らしていたとかで、話が咲きました。
船から分けてもらったサバを自分で一夜干しにしたものを新聞紙の包みから出してきました。それを板さんに頼んで、私たちにご馳走してくれたのです。
ふっくらとした油ののった、甘塩のおいしいさばでした。
ご馳走になった焼き鯖
八戸前沖さばは、ブランドさばです。
友だちが真ん中の骨をはずして、手づかみでしゃぶるように食べたら、余すところなく食べてくれたということで、すごく喜んでくれました。その男性は常連さんのようで、板さんは、唐辛子しょう油と大根おろしもつけてくれました。私たちは、帰るときに失礼にならないよう、お店の人に頼んで、この方にお酒を出してもらうよう頼んで帰りました。
私たちは、呑めないこともあり、こういう店には普段行かないので、お客同士が会話を交わし、時には仲良くなる経験をもちません。
八戸に来て見ず知らずの人にこうしてご馳走してもらって、とても心が和みました。
また、冬の「八戸えんぶり」がある頃、再訪したいという思いが強く湧き上がって来ました。
(続く)