人生はマラソンだ!
珍しいオランダの映画である。
マレーシア航空の撃墜事故で、
今、この国は、とても悲しい思いをしている家族がたくさんいるのだろうと思いながら観ていた。
家族や仲間のために初めてのマラソンを走った中年のおじさん4人の話である。
ロッテルダムの自動車の修理工場には、
経営者のおじさんとそこで働くおじさん3人と移民の若者1人が働いている。
仕事は若者に任せ、昼からビールを飲み、カードゲームに興じているのだから当然と言えば当然。
ある日、おじさんの一人が税金が長い間滞納されている何通もの督促状を見つけてしまう。
経営者と言っても同じ仲間。
経営不振を隠していたのだ。
このままでは、差し押さえられ、働いている自分たちの職場がなくなってしまう。
どうやってこのピンチを乗り越えるか。
そこでスポンサーを探してロッテルダムマラソンに出場して完走するという計画を実行することになる。
ロッテルダムマラソンまでは6か月。
4人は、お腹もかなり出ている中年おじさん。
しかもマラソンなど走ったこともない初心者ばかり。
走るのが大嫌いな私には、あり得ない話だと思うのだが、
このおじさんたちは、いろいろな人生を抱えて果敢に走る。
いつの間にか、走っている最中の彼らに
彼らの家族たちと同じように、
何とか完走させてあげたいと熱い涙を流していた。
後味のよい映画である。
*横浜ジャック&ベティで8月1日まで上映。
60万回のトライ
3年間密着取材して作られた長編ドキュメンタリー。
この学校の子どもたちには、
朝鮮半島の南と北、そして日本と3つの社会をつなぐ在日朝鮮人高校生。
ラグビー部は、長い間公式戦には出場ができなかったが、創部後20年近くたった1991年に参加できるようになった。
2003年からは、全国大会に出場する常連校になり、
ベスト4を二度経験するような強豪校になっている。
日本一を目指しながら、懸命に毎日練習に励む姿はもちろんだが、
試合に負けて泣きじゃくったり、
友だちとふざけあったりする姿を自然に写し取っている。
試合が終われば国籍や民族を乗り越えてお互いを讃え合うということで、
お互いが一人一人握手をして終わる。
彼らのまわりには、問題が山積みなのかもしれないが、
本当の意味でノーサイドの社会になっていけばいいなと改めて感じた。
ソウル出身の女性監督朴思柔(パクサユ)のデビュー作。
*横浜ジャック&ベティで7月25日まで上映。