7日の朝カーテンを開けると眼下の田沢湖が空の色を映して青く見えました。前日の筋肉痛もあり登れるかと心配したのですが、麓は晴れているので体より先に心が反応してしまいまたおにぎりを作ってもらって山へ行くことにしました。
ところがバスに乗ると、運転手さんが言うには、7合目辺りからガスっているとのこと。ちょっとがっかりでしたが、昨日のように雨はほとんど降っていなかったので一安心。
今回は、前日とはコースを変えて8合目➡笹森山➡湯森山➡焼森山➡シャクナゲコース➡8合目にしてみました。
ホテルのオーナーから教わった笹森山への最短の道を行くことにしました。この道は初めてでした。しかもバスを降りた人はだれ1人来ないのですからちょっと不安になります。このことは予想できたので、この日はクマ鈴1こ千円なりを麓で調達してきたので チリン チリン チリン と 響かせながら歩きました。
一旦沢まで下ります。かなり荒れた道でしたが、斜面にオレンジ色のニッコウキスゲの花を見たとたん、なんてラッキーなんだろうと気持ちのスイッチが切り替わりました。もう季節的にどこへ行ってもニッコウキスゲの花は見られないと思っていたからです。
見頃は過ぎているにしても。この色は気分を明るくしてくれます。
次に群落をつくっていたのが、コバギボウシ。ハクサンシャジンと遠目から見ると紫色で似ていますが、ギボウシです。
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地上で見るギボウシに比べ色が鮮やかです。
オレンジ、ムラサキと来て次に見つけた群落は、黄色でした。
上はキンコウカ。漢字で書くと、金光花、6枚の花弁からお星さまのように光を放っているということだそうです。漢字に宛てると覚えやすいものです。
もう一つは、トウゲブキ。ツワブキに姿が似ていますが、葉の緑色も葉の厚みも薄いです。
花の写真がぼけてますが、沢まで下りてきたところです。水が少なかったのですぐに渡れましたが、雪渓が遅くまで残っているところで、ここで道がわからなくなって迷うとか。今日は濁流にもなっていなくてほっとしました。花は、フジバカマだと思うのですが・・・・
モミジカラマツ オヤマソバ
コバイケイソウの実 アカモノの実
ウゴアザミ オニアザミ
直登に近い木道を登って行くのはなかなか辛いものがありましたが、両脇に咲く花の写真を撮りながら歩くと休み休みなせいか辛さが半減します。
夏も終わりに近いせいもあって花がもう終って実がなっているものもあります。コケモモに似た「アカモノ」というのは、正式には何という名前か調べたところ、アカモノが正式名でイワハゼというのが俗名でした。そんな名前がどうして付くのか?と思ったら、実は甘く実の形から桃の果実を連想したようでアカモモがなまってアカモノになったと聞いて、ようやく納得したところです。すごくフルーティだというので、一口食べておけばよかったと今になってすごく残念でしかたありません。
アザミの名前は私にとって区別がつかないものの一つです。この山の花は、標高が1500mくらいでも亜高山帯から高山帯に咲く植物ということと、東北地方のものなのでおそらくという検討をつけて「羽後アザミ」という名前にしてみたので、よく知った人がいたら教えてもらいたいです。
アザミに限らず普通より小さい花にはヒメを、普通より大きければオニだとかシシを頭につける日本流の名前の付け方にも日本人の考え方が潜んでいるようで うーん とちょっと考えてしまいます。
(調べながら書いているので、もう3時間が経過してしまいました。今日の気温は35度を超えているでしょうが、こういう調べ物をしているとあまり苦にならないというのが不思議です。)
あと少しで「湯森山」頂上です。強い風が始終吹いているせいか、この辺りには大きな木はなく、ハイマツとシャクナゲが見えるだけです。ここでまたラッキーが待っていました。
7月に終わっているはずの白いシャクナゲの花がここに咲いていたのです。たった二輪だけです。駒ヶ岳には2回登っているのですが、いずれも時期が合わず見ることができていません。今回が3度目。あまのじゃくのシャクナゲに救われました。まるで私がここへ来るのがわかっていたようで愛おしくてなりませんでした。
このシャクナゲは、白い花でほんのりピンクがかっていて正式名は、「ハクサンシャクナゲ」といいます。
高山植物には名前の頭にのハクサンが付くものの何と多いことか。それだけ白山には花が多いということ、そこで初めて発見された花もまた多いということだと思います。まだ行ったことがない白山は憧れです。行く機会があればと思いますがこの年ではそれも難しそうです。
今日の一番高いところに到達です。「焼森山頂」です。
さて、ここはタカネスミレとコマクサの群落があるところす。この日も容赦なく風が吹きつけておりました。
栄養のかけらもないような砂礫の土地に年中風が吹きつけ、避けるところもありません。この斜面一帯に、6月末には「タカネスミレ」が黄色い群落をつくり、スミレが咲き終わるとこの「コマクサ」がピンクの群落をつくるのです。
花を馬の顔になぞらえてコマクサという名前になったと聞くとなるほどと思ったりしますが、受粉してくれる虫たちばかりでなく高山植物の女王を見ようと集まる人間をもひきつける現代風な色合いの美しい花です。
保水力もないような土なので、前日のような霧雨は天然のシャワーでこの子たちにはなくてはならないものなのだと思いました。水滴が大きな水玉になり、周りの景色を写し込んでいました。
ここからシャクナゲコースへ入り、8合目の駐車場へ向かいました。シャクナゲのトンネルをくぐるような道なのに、この道にはシャクナゲは一輪も咲いてはいませんでした。あまのじゃくシャクナゲさんの心遣いが身に沁みました。
この日は、前日よりもずっとたくさん歩きましたが、足腰もなんとか持って助かりました。温泉に毎日入れる幸せを感じました。
友人は、家族経営のホテルなので息子さんの代になってもなお宿の仕事をしています。体はまだまだ元気で安心しましたが、私のように、好きな時にふらふらと旅に出るようなことがなかなかできないのが気になりました。夏にはボランティアで手伝いをして少しでもお役に立てないかなんて余計なことも考えたりしました。
次は岩手県に入ります。