初夏の浜中町の旅 その5

 昼抜きで昆布ソフトしか食べられなかったので、この日の夕食は待ち遠しかった。おまけに6キロほど歩けばよかったはずなのに迷ってしまったので、たぶん8キロ以上歩いた気がする。お風呂に先に入れてもらい、しばらく横になっていた。

 午後7時、階下より「夕食の支度ができました。」との声。食堂のドアを開けてパッと目に飛び込んだのが、赤い花咲ガニ。今の季節は花咲ガニのシーズンなのだ。

 

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 白菜と豆腐とエノキが入ったカニ汁だ。話に聞くだけで実際に食べたことはなかったので赤い色のカニが食べられるというだけで心が躍った。

 

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 そしてお刺身。この日はホッキガイサクラマスマグロ

 ホッキガイは、浜で自ら獲ったものらしい。茹でてすぐに冷凍したと聞いた。若い頃寿司屋で数年バイトをしていたので、茹で方とかもプロに仕込まれているので、本格的なんだそうだ。前日の駅弁には1個分しか入っていなかったけれど。この日は、3個分くらいの大盤振る舞い。

 サクラマスも私は初めてだ。鮭とは違って脂が繊細なのかとろっともっちりそんな感じの刺身だ。マグロだけは、冷凍したものでなく、その日釧路に上がったマグロだそうだ。魚屋でこういう出物があると買ってくると言っていた。その希少なマグロももっちりしていて美味しかった。

 

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 この日のご飯は、ホッキご飯だった。ホッキガイのお出汁が浸みていて風味よく

「よかったらおかわりして。」と言われたとたん、炊飯器のところまで立って行ってご飯をおかわりしていた。

 食べ物は大事だ。一日目にして、再び浜中へ来ることがあったらここに泊まろうと心の中で決めていた。

 ここ「霧多布里」(きりたっぷり)という民宿は、今年40周年を迎える宿で決してこぎれいな建物ではないが、リピーターの男性客が多いのも頷ける。

 (つづく)