秋ですね

 

 キンモクセイ

 月曜日団地の路地を通った時に、甘い匂いにうっとりしてしまった。マスクをしているせいもあり、鼻を通してこんな気分になることがなかったので不意打ちをくらった感じで、すぐにキンモクセイだと気づかなかった。

 年々早くなっているキンモクセイの花時季だが、今年は特に早い気がする。桜と違って南から北へ開花が移動していくというより、ラジオからの情報だとほぼ全国同時に開花するような気がする花だ。

 私が好きな香りNO1だ。

 

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 ツルボ

 先週ベランダから細い穂のような花が見えた。上から見るとよくわからなかったが、近づいてみると薄紫のきれいな花が咲いている。ちょうど絵の教室に出かける前だったので、絵のモデルに使えるかなと思って何本か切り取ってでかけた。

 

 何年もここに住んでいるのに、この時期こんな花が咲いているのを見つけたのは初めてだ。ここ数年、毎年のようにこの辺りに植えてあったソメイヨシノの木が切られてきた。伐採されて日当たりがよくなり数が増えたのかもしれない。

 

 絵の教室で詳しい人に聞いてみると、名前はツルボと判明。このツルボは原野の日当たりのいいところや林の縁に咲く花で球根で増えるらしい。葉は短くて細い。球根で増えるところも、葉は花が終わる頃伸びるというところもヒガンバナに似ている気がする。

 この植物は、ここが原野だった頃の記憶を持っているのかもしれない。

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 ヒガンバナ

 キンモクセイは、ちょっと早いような気がするが、ヒガンバナはこの数年彼岸の入り1週間から10日前には咲き始める。咲く時期を心得ている本当に律儀な花だ。

 

 40数年前、団地ができる前は、この辺りは小高い山だったのだろう。造成して団地を作る前のことはほとんど知らないが、斜面や林として残してあるところには、小さなヒガンバナがひょっこりと咲く。ヒガンバナはその頃の記憶を残す貴重な花かもしれない。

 

 ヒガンバナのつぼみがあるところにもう一つ秋が落ちていた。銀杏の実だ。見上げるとイチョウの木にたわわにギンナンの実がなっていた。

 夏の暑さに負け、コロナ禍でマスクをしながら歩いているので、季節の移ろいに疎くなっている自分の感性を取り戻したようなここ1週間の話である。

 

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